逃げられるものならお好きにどうぞ。


「嬢ちゃん」

「……皇さん。こんばんは」



奥の方のカウンター席には、皇さんと萌黄さんも座っていた。近づいてきた皇さんも、美代さんと似たような顔をしている。



「ウチのもんを捜してくれてる。見つけ次第、嬢ちゃんとこに引きずってくから、もう少し待ってな」

「……はい。ありがとうございます」

「んじゃあ今日はひとまず、家に帰るぞ」

「え? ……いえ、私、まだ行くところがあるので……大丈夫です」

「んなひでー面で椿に会うつもりか?」

「……そんなにひどい顔してますか?」

「あぁ、今にも死にそうな顔してる。椿のやつ、自分のせいだって気に病むだろうな。まぁ、お灸をすえるって意味では、悪くはねぇかもしれないがな」

「……」

「まずは家に帰って、しっかり休め。椿を見つける前に嬢ちゃんが倒れちゃ、意味ねーだろ?」

「……はい。そうですよね」



俯いていた顔を上げれば、軽いめまいを感じた。ふらついた身体を、皇さんに支えられる。

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