Fahrenheit -華氏- Ⅲ

ちょうど13時に来客予定があったと言うこともある。俺と佐々木は少し早めの11:30から昼休みに入った。


12:30に戻ったとき、瑠華はPCに向かって黙々と仕事中で、ちらりと服装を盗み見ると白いシャツに黒いタイトなスカート首元に大判のスカーフがオシャレに巻いてあって、通常通りのオシャレさん♪……じゃなくて、これじゃデートに行くのかそうじゃないのか分からん。


13時5分前になって瑠華は黒い細身のコートとジミー・チュウのモカブラウンのバッグを手に取り用意をしだした。


誰と出かけるのか気になってしょうがないが、運てのは早々ついてるものじゃない。


俺の内線電話に1F受付から


『三光商事さんお見えになりました』と打ち合わせの来客の報せが。


ああ、ついていない。


結局、瑠華より先に出る形になった俺は1Fロビーに向かった。


打ち合わせの客よりも先に綾子と―――瑞野さん……?が揃ってコートを着てバッグを持っていたのを発見して一瞬後ずさりしたくなった。


何て言ったって瑞野さんにはクリスマスイブ一緒に過ごしたいと誘われたばかりだからな。だが今は綾子が一緒だ。瑞野さんもプライベートなことは口に出さない筈。てか二人して出かけるのか?親父(会長)の付き添いか何かなのだろうか。


「あら、啓人~お疲れ~」と綾子の方が先に気づいた。


「お疲れ様です」と瑞野さんも俺の存在に気づききっちり頭を下げる。


「あ、お疲れ……」


「何、打ち合わせ?」と綾子に気軽に聞かれ


「あー、うん、そっちは?」と何となく流れで聞き返すと


「お待たせ、綾子くん、瑞野くん」と俺の背後からぬっと人影が現れて、今度はリアルに後ずさりしてしまった。


んゲ!親父!


会社ではなるべく会いたくないんだよなー。


「じゃ、俺打ち合わせあるから」とそそくさと逃げるように立ち去ろうとしたが


「柏木くんはまだ来ていないのかい?珍しい、彼女が最後なんて」


と親父の言葉を聞いて、俺の足取りは止まった。




瑠華の今日の予定って親父と、綾子と――――瑞野さん―――と外食することだった―――?

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