魔法少女ちゃんの秘密
二話
「おはよう。」
「お、おはようございます。」
五十嵐さんの部屋となった元物置部屋は、私の真隣の部屋だ。ちょうど部屋を出る瞬間が被って鉢合わせる。わざわざいつもより早起きして、髪とコンタクトをセットしたおかげで問題はないが…
(アルビノがバレたら魔法少女なのもバレちゃう…!)
昨日は家に帰ってから寝るまで、入浴時にしかカツラとカラコンを外せなかった…
(流石にファンの方に正体を明かすのは、なんか…ね。)
個人的にこの人怖いし。イケメンすぎて、
彼の足元には、昨日一緒にいた黒猫もいる。
「猫…」
「あぁ、ネロっていうんだ。嫌なことしなければ噛んだりはしないさ。」
「へ〜…」
私はちょっと屈んで、猫の前に指を出す。すると猫は私の指の匂いを嗅いだあと、スリっと毛を触らせてくれた。
(可愛い…もふもふだ。)
それから朝ごはんを共にして、一緒に家を出た。
「そういえば五十嵐さんってお昼購買ですか?」
「あぁ、そうだな。お前も?」
「今日は購買の予定ですけど、普段は弁当作って持って行ってます。」
「自分で作ってんだ、すご。」
「基本前日に用意するので簡単ですよ。」
お父さんの仕事の都合で私が夕飯を用意することだってよくあるし、慣れたものだ。
それから10分ほどで駅に着いて、一緒に電車に乗った。
「最初の電車は四駅先で乗り継ぎですね。大体45分くらいで着きます。その次の電車でも四駅先ですが、そっちは15分程度です。そして最後の電車を5分ほど乗ったら、あとは降りて学校まで歩きですね。ゆっくり歩いても10分程度で学校に着きます。」
「通学1時間半くらいか、結構ハードだな。」
「そうですね。二つ目の電車からは、同じ学校の人が何人か乗ってくるのでそこは離れて座ってもらえると嬉しいです。」
ちょっと間を開けて隣に座る。
一番最初に乗る電車は大分人が少ないから座れるけど、二つ目からは立たなきゃいけないことが多いんだよなぁ…
「そういえば、凛はなんでこの学校にしたの?結構遠いだろ。」
「…えっと、服を作ってみたくて。」
私がわざわざこの学校を選んだ理由、それは自分で服を作れるようになるためだ。なんで自分で服を作りたいかっていうと、それは魔法少女に関係している。
魔法少女は、衣装によって発揮する力が変わる。
初めて魔法少女になった時に受け取る、デフォルメのシンプルな衣装では身体能力の向上とステッキを使ってちょっとしたビームなどの衝撃波を打つことしかできない。
しかし、自分で気持ちを込めて衣装を作ることで、その衣装に合った力を手に入れることができるのだ。例えば、かっこいい衣装を着ることでもっとキレキレな攻撃ができたり、他にも衣装にメガネを加えることで追跡メガネとして使ったり…
そして…
私、魔法少女・ミルク。もう一年以上魔法少女をやっているが、未だ一つの衣装も作れていない。
(もちろん何回か挑戦はしたんだよ!?でも完成品はどれもただの布切れになっちゃうの!難しいの!!)
「へー、てっきりモデルの方狙ってるのかと思った。顔可愛いし。」
さらっと容姿を褒められて少し照れる。
(こういうところが女子に人気な理由なんだろうな…)
「そういう五十嵐さんは?」
「俺?きっかけは友達が一緒に通おうって言ってくれたからだな。」
「そうなんですか…五十嵐さんこそモデル狙ってるのかと、」
モデルとしてのあり方も学べるし、モデルになる時も何かと優位だろうからなこの学校は。実際にモデルをやってる子もいるらしいし、
「狙ってるも何も、もうモデルだよ?」
「…え?」
「凛、おはよう。相変わらず学校くるの早いね。」
「心美が遅いだけだよ、」
「嘘だぁ、」
「ねぇ、心美?心美って五十嵐ファンじゃん?」
隣の席の心美は、明るい茶髪で猫目の女の子だ。私は彼女に質問をする。
「そうだね、それが?」
「五十嵐さんってモデルやってるの?」
「え…凛、そんなのも知らないの?本当にイケメンに興味ないよね、」
「別に興味ないわけじゃないけど…」
(五十嵐さんがモデルやってるのってみんな知ってることなんだ…)
心美が雑誌をいくつか私の机にばらまく。
「はい、」
「なにこれ?」
「五十嵐様が載ってる雑誌。すごい有名な会社が出してるやつだよ、」
私は雑誌を持ち上げる。丁寧にクリアカバーを被せられた雑誌の表紙は、前髪をかきあげてる五十嵐さんの写真だった。
「へー…すごいんだね、」
「反応うっす、もっと五十嵐様を讃えなさいよ。」
「心美って五十嵐さんのことめっちゃ好きだよね…」
「好きじゃない女子なんてあんたぐらいだよ、」
「そうじゃなくて、心美は他のファンに比べてすごい信仰心が強いっていうか、」
「推しだからね。」
「あ、うん。」
心美の圧に負けて、私は頷いてしまう。
「今日は全校集会があるでしょう?五十嵐様拝めるとか最高…!」
「…よかったね、」
「礼、お座りください。」
全校生徒が体育館に集まり、生徒会長の五十嵐さんが挨拶を済ませると校長先生の話が始まった。
比較的に若く、真面目そうな先生だ。
「おはようございます、今日からまた皆さんと…」
長々とした話に聞き飽きてきた頃、聞き覚えのあるブザーの音がした。
「南地区にデビル発生。デビル発生。近隣住民は直ちに避難をしてください。繰り返します。南地区にデビル発生。デビル発生。」
体育館に集まった生徒がみんな一気に焦りだす。先生方が声をかけるものの、全く効果がない。
(今…!?しかも結構近い!!)
ここら辺に住む魔法少女は多くない。怪我人を出さないために、私が今すぐ向かうべきなのだが…
(ここで変身したら正体がバレちゃうし、外に出ようにもみんな慌てて動けない…!)
「皆さん、落ち着いてください。」
なんとか出口に向かおうと私が動いている時、五十嵐さんの声がした。彼の声で辺りが一気に静かになり、全音の動きが止まった。
「今まで避難訓練でもやったように、先生の指示に従って…」
彼のおかげで生徒たちの動きが止まり、私はドアのとこまで来ることに成功した。
(五十嵐さんありがとう…)
心の中でお礼を言って、ドアに手を伸ばした瞬間…
「どこにいくんだ?」
黒い髪に、青色に染められた毛先。カラコンをしているのか青っぽい目は人を殺せそうなほど鋭い。
私の手首を掴んだのは、見覚えのある男性。副生徒会長の山内 類先輩だった。
「お、おはようございます。」
五十嵐さんの部屋となった元物置部屋は、私の真隣の部屋だ。ちょうど部屋を出る瞬間が被って鉢合わせる。わざわざいつもより早起きして、髪とコンタクトをセットしたおかげで問題はないが…
(アルビノがバレたら魔法少女なのもバレちゃう…!)
昨日は家に帰ってから寝るまで、入浴時にしかカツラとカラコンを外せなかった…
(流石にファンの方に正体を明かすのは、なんか…ね。)
個人的にこの人怖いし。イケメンすぎて、
彼の足元には、昨日一緒にいた黒猫もいる。
「猫…」
「あぁ、ネロっていうんだ。嫌なことしなければ噛んだりはしないさ。」
「へ〜…」
私はちょっと屈んで、猫の前に指を出す。すると猫は私の指の匂いを嗅いだあと、スリっと毛を触らせてくれた。
(可愛い…もふもふだ。)
それから朝ごはんを共にして、一緒に家を出た。
「そういえば五十嵐さんってお昼購買ですか?」
「あぁ、そうだな。お前も?」
「今日は購買の予定ですけど、普段は弁当作って持って行ってます。」
「自分で作ってんだ、すご。」
「基本前日に用意するので簡単ですよ。」
お父さんの仕事の都合で私が夕飯を用意することだってよくあるし、慣れたものだ。
それから10分ほどで駅に着いて、一緒に電車に乗った。
「最初の電車は四駅先で乗り継ぎですね。大体45分くらいで着きます。その次の電車でも四駅先ですが、そっちは15分程度です。そして最後の電車を5分ほど乗ったら、あとは降りて学校まで歩きですね。ゆっくり歩いても10分程度で学校に着きます。」
「通学1時間半くらいか、結構ハードだな。」
「そうですね。二つ目の電車からは、同じ学校の人が何人か乗ってくるのでそこは離れて座ってもらえると嬉しいです。」
ちょっと間を開けて隣に座る。
一番最初に乗る電車は大分人が少ないから座れるけど、二つ目からは立たなきゃいけないことが多いんだよなぁ…
「そういえば、凛はなんでこの学校にしたの?結構遠いだろ。」
「…えっと、服を作ってみたくて。」
私がわざわざこの学校を選んだ理由、それは自分で服を作れるようになるためだ。なんで自分で服を作りたいかっていうと、それは魔法少女に関係している。
魔法少女は、衣装によって発揮する力が変わる。
初めて魔法少女になった時に受け取る、デフォルメのシンプルな衣装では身体能力の向上とステッキを使ってちょっとしたビームなどの衝撃波を打つことしかできない。
しかし、自分で気持ちを込めて衣装を作ることで、その衣装に合った力を手に入れることができるのだ。例えば、かっこいい衣装を着ることでもっとキレキレな攻撃ができたり、他にも衣装にメガネを加えることで追跡メガネとして使ったり…
そして…
私、魔法少女・ミルク。もう一年以上魔法少女をやっているが、未だ一つの衣装も作れていない。
(もちろん何回か挑戦はしたんだよ!?でも完成品はどれもただの布切れになっちゃうの!難しいの!!)
「へー、てっきりモデルの方狙ってるのかと思った。顔可愛いし。」
さらっと容姿を褒められて少し照れる。
(こういうところが女子に人気な理由なんだろうな…)
「そういう五十嵐さんは?」
「俺?きっかけは友達が一緒に通おうって言ってくれたからだな。」
「そうなんですか…五十嵐さんこそモデル狙ってるのかと、」
モデルとしてのあり方も学べるし、モデルになる時も何かと優位だろうからなこの学校は。実際にモデルをやってる子もいるらしいし、
「狙ってるも何も、もうモデルだよ?」
「…え?」
「凛、おはよう。相変わらず学校くるの早いね。」
「心美が遅いだけだよ、」
「嘘だぁ、」
「ねぇ、心美?心美って五十嵐ファンじゃん?」
隣の席の心美は、明るい茶髪で猫目の女の子だ。私は彼女に質問をする。
「そうだね、それが?」
「五十嵐さんってモデルやってるの?」
「え…凛、そんなのも知らないの?本当にイケメンに興味ないよね、」
「別に興味ないわけじゃないけど…」
(五十嵐さんがモデルやってるのってみんな知ってることなんだ…)
心美が雑誌をいくつか私の机にばらまく。
「はい、」
「なにこれ?」
「五十嵐様が載ってる雑誌。すごい有名な会社が出してるやつだよ、」
私は雑誌を持ち上げる。丁寧にクリアカバーを被せられた雑誌の表紙は、前髪をかきあげてる五十嵐さんの写真だった。
「へー…すごいんだね、」
「反応うっす、もっと五十嵐様を讃えなさいよ。」
「心美って五十嵐さんのことめっちゃ好きだよね…」
「好きじゃない女子なんてあんたぐらいだよ、」
「そうじゃなくて、心美は他のファンに比べてすごい信仰心が強いっていうか、」
「推しだからね。」
「あ、うん。」
心美の圧に負けて、私は頷いてしまう。
「今日は全校集会があるでしょう?五十嵐様拝めるとか最高…!」
「…よかったね、」
「礼、お座りください。」
全校生徒が体育館に集まり、生徒会長の五十嵐さんが挨拶を済ませると校長先生の話が始まった。
比較的に若く、真面目そうな先生だ。
「おはようございます、今日からまた皆さんと…」
長々とした話に聞き飽きてきた頃、聞き覚えのあるブザーの音がした。
「南地区にデビル発生。デビル発生。近隣住民は直ちに避難をしてください。繰り返します。南地区にデビル発生。デビル発生。」
体育館に集まった生徒がみんな一気に焦りだす。先生方が声をかけるものの、全く効果がない。
(今…!?しかも結構近い!!)
ここら辺に住む魔法少女は多くない。怪我人を出さないために、私が今すぐ向かうべきなのだが…
(ここで変身したら正体がバレちゃうし、外に出ようにもみんな慌てて動けない…!)
「皆さん、落ち着いてください。」
なんとか出口に向かおうと私が動いている時、五十嵐さんの声がした。彼の声で辺りが一気に静かになり、全音の動きが止まった。
「今まで避難訓練でもやったように、先生の指示に従って…」
彼のおかげで生徒たちの動きが止まり、私はドアのとこまで来ることに成功した。
(五十嵐さんありがとう…)
心の中でお礼を言って、ドアに手を伸ばした瞬間…
「どこにいくんだ?」
黒い髪に、青色に染められた毛先。カラコンをしているのか青っぽい目は人を殺せそうなほど鋭い。
私の手首を掴んだのは、見覚えのある男性。副生徒会長の山内 類先輩だった。