気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
交わした嘘
朝。
奈瑠と待ち合わせをして校門を歩いていると、どこか周囲が騒がしい。
「あれ、真田さんじゃない?」
「昨日の……」
「やっぱりそうなの!?」
小さな声なのに、不思議と耳へ入ってくる。
「……?」
何だろう。
服に何か付いてる?
思わずコートを見る。
「茉桜?」
奈瑠も不思議そうに首をかしげる。
教室へ入っても同じだった。
目が合うと逸らされる。
でも、また見られる。
そんなことが何度も続く。
「何かあったのかな……」
小さく呟いた、その時。
「茉桜ちゃん!」
同じ学科の女子学生が駆け寄ってきた。
「あ、はい」
「彼氏いたんだね!」
「……え?」
一瞬、意味が分からなかった。
「建築の西澤くん!」
「昨日、校門で付き合ってるって友達が聞いたって!」
「え!?」
奈瑠も驚く。
「聞いてないよ!?」
「それは……」
説明しようとして言葉が止まる。
想くんが咄嗟についてくれた嘘。
事情を全部話していいのかな。
そう迷っているうちに、
「やっぱり照れてる!」
「可愛い〜!」
勝手に話が進んでいく。
「いや、違くて!」
否定しても、笑われるだけだった。
「茉桜ちゃんなら西澤くんと並んでてもお似合いだよね!」
「………まーお?」
「……ん?」
「ちょっと話そうか」
奈瑠が不服そうにこちらを見ていた。