ミドサーですが、うっかり恋に堕ちまして
2.デート
 早朝五時。久しぶりに予定のある休日。

目覚ましのアラームよりもさらに早く目が覚めてしまった。

「んー、……起きるかぁ」

 二度寝もできそうにない。

 ベッドの上で大きく背伸びをすると、そのままキッチンへ向かった。

 冷蔵庫から冷えたミネラルウォーターを取り出し、一気に喉へ流し込む。

窓の外はまだ少し薄暗い、休日の静かな朝。

なのに私の気持ちだけが妙に落ち着かなかった。

 昨夜お風呂には入ったけれど、寝ている間にも汗をかいた気がする。

お風呂を溜めてぬるめのお湯にゆっくり浸かる。

髪にはたっぷりトリートメントを付けて洗顔もいつもより丁寧にする。

風呂上がりにはフェイスパックで保湿までした。

 髪を乾かし、普段より少し時間をかけてメイクをする。

「……待って。さすがに頑張りすぎでは?」

 鏡に映る自分を見て、思わず呟いた。

 普段ほとんどメイクをしないせいで、なんだか別人みたいに見える。

でも、手抜きはしたくなかった。

今日は高柳先生と食事へ行く約束の日だ。

 しかも、“デート”。

なんでも少し遠い店へ連れて行ってくれるらしく、待ち合わせは朝九時。マンションまで迎えに来てくれるという。

最寄り駅まで向かいますと言ったのに『却下です』と即答されてしまった。

「どうしよう……やっぱりサンダルの方がいいかな」

 姿見の前に包装紙を敷き、スニーカーとサンダルを並べる。

全身を映しては悩み、また履き替えるの繰り返し。

「お洒落ってこんなに難しかったっけ……?」

 今日のためにワンピースまで新調してしまった。

白の半袖ブラウスとカーキのスカートが一体になったデザイン。

甘すぎず、でも少しだけ女性らしい。可愛いより、綺麗に見えるものを選んだ。

さすがにデートに誘われた日に、Tシャツとデニムというわけにもいかないだろうと思って。

「……三十五歳が何やってるんだろ」

 小さく呟いたその瞬間、スマホが震えた。

《着きました》

 短いメッセージに、ドキンとする。

「え、早い!」

 十五分前だ。

慌ててカゴバッグを掴み、サンダルを履いて部屋を飛び出した。

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