大学生♀×小学生♂のペア
バス停へ向いながら、れねは慶太が家へ来た時の事について考えていた。
春のある日、慶太はれねの叔母に当たる母親に連れられてアパートへ来た。
小さい頃から慶太を知っているれねは、特別な気負いもなく慶太を迎え入れ、歓迎した。
母親は挨拶が済むとれねと慶太を食事に連れていき、それから帰っていった。
『れね、最初ここ来た時どう思った?』
慶太は2LDKの自分の部屋になる、まだ勉強机が運び込まれて居ないまっさらなフローリングの床に陽が差すのを見回しながら聞いた。
『うーんとね、なにか新しいことが始まるんじゃないかって思ってわくわくしてた』
『そう。新しい事は始まった?』
『格別な事は始まらないけど、大学入学して、色々やってる。』
『そう。大人の生活はおんなじ事の繰り返しって言うけど、それって本当?』
『そうでもないよ。どうして?』
『別に。ただ本でそう読んだから。僕はそういう大人にはならないって思ってる。』
慶太は前で分けた黒髪の少年らしく整った顔を傾げて言った。
『れねもなっちゃ駄目だよ。絶対。もっとちゃんとした良い方の大人になりなね。』
ふと見ると道路の家々の塀の隙間から花がこぼれるように咲いている。