オレンジじゃない夕方




 
 翌年春。

 
「来てくれた。嬉しい。」

 
 遠くから来るまで、敬は私に手を振っていた。

 
「どこに行こうか。」

 敬が言った。
 
「あそこの道を通っていこう。桜が満開に見える。原さん、桜吹雪になってるよ。風が気持ちいい。」


 私達は桜の咲き誇る河原を通った。
 ピンク色の花びらが一斉にはらはらと風に舞い、私達の行く道を先にする。



 ────そういう刹那だ。



  歩きながら敬が言った。
 

「あー、満足。とうとう僕は君のものになっちゃったね。そうならないつもりだった。できれば一生。」

「どうしてそんな事を言うの?。」

 
 見上げると黒い瞳。

 なかなか捕まらないで困らせる、私を映す、

 
「君のことが好きだからだよ。」






 





 
おわり

 
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