恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
 暫く車を走らせた朝陽が前方を見ながら口を開いた。

「木葉さん、飲み物とか大丈夫ですか?」
「あ、そうだね。距離もあるし、どこかで買おうか」
「それじゃあ途中にカフェあるので、そこに寄りましょうか」
「うん」

 それからほどなくして見えてきたチェーン系のカフェへ入り、朝陽はそのままドライブスルーの列へ車を進めていく。

 窓越しに注文を終えて受け取り口へ向かう中、亜佑美は財布を取り出しながら言う。

「いくらだった? 私出すよ」

 すると朝陽は驚いたように目を瞬かせ、すぐに首を振った。

「えっ、いやいや! このくらい俺が出しますから! っていう出させてください」
「でも――」
「良いんです! ね?」

 きっぱり言われた亜佑美は思わず言葉を止めた。

 そして、朝陽は店員から商品を受け取り自然な動作で会計を済ませてしまう。

「はい、どうぞ」
「……ありがとう」

 カップを受け取りながら亜佑美は少し不思議な気持ちになっていた。

 そもそも普段の自分なら、ここまで自分からお金を出そうとはしない。

 出してもらうことに抵抗はないし、むしろ男性側に任せる流れになることの方が圧倒的に多かったから。

 それなのに、朝陽相手だと何故か違った。

 この子にはちゃんと返したいと自然に思ってしまったのだ。

 それがどうしてなのか亜佑美自身よく分からなかった。
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