恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
「とにかく、こうなるといつどこで相手が接触してくるか分からない。木葉は絶対に一人で行動しない方がいい」

 話し合いの中で界人は改めてそう念を押すと、

「そうですね、そこだけは徹底しないと」

 朝陽も真剣な表情で頷く。

 これまでも出来る限り一人にならないよう気をつけてきた。

 けれど、相手がここまで執拗な行動に出ている以上これまで以上の警戒が必要だった。

「まあ今でも一人にはならないようになってるけどさ、やっぱり職場の同性にも話した方がいいんじゃね?」

 そう言ったのは陽向だった。

「北丘サンだって四六時中一緒にいられるわけじゃないんだろ?」
「確かに……一人か二人くらいには事情を話しておいた方がいいかもな。昼食も俺が同席できないときは外に出ない方がいい」
「……分かった。そうする」

 亜佑美は少し不安そうにしながらも素直に頷いた。

 これまでは周囲に迷惑をかけたくないという気持ちから必要以上に事情を広げることを避けていた。

 だけど今はそんなことを言っている場合ではないのが現状だ。

「つーかこれ……俺らも気をつけた方が良さそうだよな? 相手は俺らのことも邪魔だと思ってるわけだし」
「そうだね」

 陽向の言葉に朝陽も頷く。

「各々一人でいるときは警戒を強めた方が良さそうだ。こうなると木葉だけ気にしていればいいって話じゃないからな」
「陽向、お前はまだ高校生だから特に気をつけろよ」

 朝陽が陽向に向かって念を押す。

「まあ、気をつけるけど……兄ちゃんや北丘サンだって気をつけろよ。ってかむしろ子供(ガキ)の俺より二人の方が相手からしたら狙ってきそうだしさ」
「とにかく、お互い気をつけよう」

 今後は亜佑美だけではなく、全員が警戒を強めることを念頭に置いて生活していく。

 それが今の彼らに出来る最善の対策だった。
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