恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
「かなり良いマンションだよな」

 部屋を見回しながら界人が感心したように言い、

「部屋も広いし、結構家賃高いんじゃね?」

 陽向も興味深そうに室内を見渡す。

「まあね。でも、その分セキュリティーもしっかりしてるからさ」

 朝陽が答えると界人は納得したように頷いた。

「確かに。それが一番重要だよな」

 そんな二人の会話を聞きながら食事をしていた陽向が、ふと思い出したように朝陽へ声をかける。

「なぁなぁ、兄ちゃん」
「ん?」
「これからも定期的に泊まりに来ていい?」

 あまりにも当然のように尋ねる陽向に界人が呆れたような顔を向けた。

「陽向くん、少しは遠慮しなよ。二人は同棲するんだし」
「そりゃ毎週来るわけじゃねーけどさ、二週間に一度くらいは……」
「それは来すぎだって」

 朝陽も苦笑しながら陽向を見る。

「北丘さんの言う通り少しは遠慮してくれよ」
「えー……」

 二人から揃って咎められた陽向は少しだけ頬を膨らませると、今度は向かい座る亜佑美へと視線を向けた。

「亜佑美サン、駄目?」

 助けを求められたは亜佑美は陽向と朝陽を交互に見る。

 自分としては別に構わない気もするけれど、これから二人で暮らす家なのだから自分だけで決めるのも違うだろう。

「えーっと……」

 少し考えた末、亜佑美はにっこりと笑って、

「それについては朝陽くんにお任せします……」

 そう言って全ての決定権を朝陽へと押しつけた。

「兄ちゃん……」
「……そんな顔しても駄目なものは駄目」
「ちぇー」

 新居に響く陽向の不満げな声に亜佑美は思わず笑い、そんな亜佑美の明るい表情を見た三人はホッとした表情を浮かべていた。
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