三浦主任の「ん」はずるい


「三浦主任。受理されてないからといって、セーフじゃないんだぞ」
「ん」
「申し訳ありませんじゃないのかな?」
「申し訳ありませんでした」

一字一句、通った声で返す。

「……これはこれで腹が立つな」

人事部長に呼び出された三浦。

「主任は紙で欲しいんだっけ? はい、始末書」

事務手続き遅延に対する改善報告をしなければならないが、三浦の表情は変わらない。その場で綴ってみせた。

「あっ! 沖縄と言えばシーサーだろう?」
「ん?」

部長は内容の確認もそこそこに押印する。

「もう君に見合いを勧めるのは止めた」
「……」
「S社との仕事、成果をあげるように。私の顔に泥を塗ってくれるなよ?」

奈緒の件は部長の力添えがあってこそ。

「はい、必ず。彼女がいないと困りますので」
「はは、よく分かってるじゃないか」

上機嫌になる部長へ一礼し、三浦は退室。
廊下の窓から青空が覗く。

「主任〜! 空港便が届きましたよお!」

ポケットからガムを取り出すと、噛み締めた。

おわり
< 9 / 9 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

ミューズな彼女は俺様医師に甘く奏でられる

総文字数/64,765

恋愛(純愛)92ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 伊集院桜はクールなミューズと呼ばれ、国内外で活動するヴァイオリニスト。日本でも高い人気をほこり、写真集まで発売している。  奏者としてはもちろん、アイドル的な側面も持つ桜だが、ある日突然活動休止を発表。結婚? 妊娠? と騒がれる中、日本屈指の医療を受けられるベリカ大学病院へ入院することに。 「私を元通りに治して下さい」  ヴァイオリンが弾ければ他はどうなってもいい。  窮地に立たされた天才奏者、伊集院桜(26) 「人間は機械じゃねぇ、完全に治るとは言えないが俺がまた弾けるようにしてやる」  数々の症例を手掛け、彼の施術目当てに来日する患者も多い。  天才外科医、真田慎太郎(34)  そんな二人の物語。  べりが丘コンテストに出したかったのですが、締め切りが間に合いませんでした(T_T)  とりあえず記念に投稿します
表紙を見る 表紙を閉じる
ジャンル 恋愛 キーワード ①失恋 ②雨宿り ③親友 ④二面性 溺愛彼氏 失恋したらチャラ男が一途な本性を現しましたの改稿版です 改稿にあたり加筆しました

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop