トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
「奏」

固く閉ざされた扉の表面に、俺の絞り出した声が虚しく吸い込まれていく

……返事はない

ただ、耳が痛くなるほどの静寂だけがそこにあった

あまりの静けさに、胸の奥を冷たいナイフで抉られるような恐怖がこみ上げてくる

この部屋の向こうに、本当に奏は生きているのだろうか。

そんな最悪の不穏な想像までが頭をよぎり、嫌な汗が背中を伝っていった

「奏……っ」

もう一度、祈るようにその名前を呼ぶ

それでも、冷徹な木製のドアはこちらの拒絶を続けるように、沈黙を貫いたままだ

隣にいた優朔が、耐えかねたようにゆっくりと扉へ片手を突いた

「奏」

それは、普段の彼からは想像もつかないほど、低く、どこまでも優しい声だった

胸の中に渦巻いているはずの激しい怒りも、狂いそうなほどの焦りも、すべてを懸命に押し殺した声

「……俺たちも、ここにいる」

数秒の、気の遠くなるような沈黙

優朔はドアに額を押し当てるようにして、言葉を紡ぎ続ける

「お願いだから……開けてくれ」

その言葉に込められていたのは、責めるような説得なんかじゃない

ただただ、お前が心配でたまらないんだという、一筋の純粋な想いだけだった

隣にいた蒼依も、ボロボロと溢れ出す涙を隠すように俯きながら、震える口を開いた

「奏……っ」

蒼依の声は、今にも壊れてしまいそうなほど激しく震えている

「お願いだから、お願いだからさ……顔、見せてよ……!」

それでも、返ってきのは残酷な沈黙だけだった

廊下には、まるですべての色彩を失ったかのような重たい静寂が落ちる

階下のリビングでは、お母さんや音くんたちも、祈るように息を潜めているのだろう

家全体が、完全に世界から切り離されたかのように静まり返っていた

俺は、袖の中で爪が皮膚に食い込むほど強く拳を握り締める

頼むから、俺たちの前に出てきてくれ

ただそれだけを、胸が張り裂けんばかりに願い続けた
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