トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
紗凪side

陽貴くんは本当に限界だったんだと思う

寝室へ入って

ベッドへ横になったと思ったら数分もしないうちに眠ってしまった

規則正しい寝息

少し乱れた黒髪

いつもなら整っている顔も、今日はどこか疲れが滲んでいる

私はベッドの端へ腰掛けたまま、その寝顔を見つめる

胸が苦しかった

今回の騒動で一番傷ついているのは奏くんかもしれない

でも陽貴くんも同じだ

ずっと見てきた

会見の日も

奏くんが壊れていく姿を見た日も

今日も

陽貴くんは一度も弱音を吐かなかった

リーダーだから

みんなの前では立っていなきゃいけないから

そう思っていたんだろう

でも本当は違う

陽貴くんだって人間だ

怖いはずだ

苦しいはずだ

失いたくないはずだ

私はそっと手を伸ばした

眠る陽貴くんの髪に触れる

少しだけ固まっている

何度も手でかき上げたんだろう

会見の緊張

奏くんのこと

世間の反応

全部抱え込んで

それでも立ち続けていた

「……頑張ったね」

小さく呟く

返事はない

当たり前だ

ぐっすり眠っている

それでも言いたかった

本当によく頑張ったと思う

私だったらどうだっただろう

大切な仲間が突然世間から叩かれて

何もできないまま壊れていく姿を見続けて

冷静でいられただろうか

きっと無理だ

だから余計に胸が痛い

私はそっと布団を引き上げる

肩が冷えないように

起きないように

静かに

すると陽貴くんが少しだけ身じろぎした

眉が寄る

苦しそうだった

夢を見ているのかもしれない

私は反射的にその手を握った

「大丈夫」

小さく囁く

「大丈夫だよ」

自分に言い聞かせるみたいに

何が大丈夫なのかなんて分からない

奏くんの問題も終わっていない

世間もまだ敵だらけだ

でも

それでも

今だけは眠っていてほしかった

何も考えずに

何も背負わずに

ただ休んでほしかった

陽貴くんの手は少し冷たかった

それなのに

握り返す力は強かった

眠っているのに

まるで何かを掴むみたいに

私は思わず涙が滲む

本当に不器用な人だ

一人で抱えて

一人で苦しんで

それでも誰かを守ろうとする

そんなところが好きで

そんなところが心配で

どうしようもなく愛おしい

私は静かに横になる

そして

眠る陽貴くんの肩へそっと額を寄せた

「早く終わりますように」

誰に向けた願いかも分からない

ただ

大切な人たちがまた笑える日が来てほしい

その願いだけを胸に

私もゆっくりと目を閉じた
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