トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
少し離れた場所では梓が優朔を見ていた。

そして。

いつものように笑う。

「お疲れ」

たったそれだけ。

でも優朔は少し目を細めた。

「ありがとう」

短い返事。

それでもその表情はどこか柔らかかった。

梓は知っている。

優朔がどれだけ苦しんだか。

どれだけ眠れない夜を過ごしたか。

全部。

知っているから。

何も言わない。

ただ隣に立つ。

それだけで十分だった。



そして。

部屋の奥。

奏の両親が立っていた。

お母さんはすでに泣いている。

お父さんも目を赤くしていた。

奏は立ち止まる。

さっきまでステージに立っていた人間とは思えないくらい。

急に子どもの顔になる。

「母さん……父さん…」

声が震える。

お母さんは何も言わない。

ただ奏へ近付く。

そしてぎゅっと抱き締めた。

「よく、頑張ったわ」

震える声だった。

奏の瞳から涙が溢れる。

「ありがとう…」

やっと言えた。

やっと。

言えた。

お父さんも隣へ来る。

そして。

奏の肩を叩いた。

「立派だったな」

短い言葉。

それだけだった。

でも奏は泣き崩れた。

「父さん……」

声にならない。

何か月も。

ずっと。

この言葉が欲しかったのかもしれない。

信じてくれていた。

待っていてくれていた。

奏にとってそれが何より嬉しかったのだ。
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