トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
そんな、ある日のこと

激しい日勤の勤務を終えて、へとへとになりながらロッカールームを出た私は、廊下の少し先を歩く見覚えのある背中を見つけた

あ、紗凪だ

私と同じように、ちょうど勤務を終えたばかりらしい紗凪の後ろ姿

「さ……」

声をかけようとして、私の唇の動きが止まった

紗凪が不意に顔を輝かせたからだ

いつも仕事中の凛とした姿からは想像もつかないような、少女みたいにとびきり甘くて、幸せそうな笑顔

そのまま、紗凪がパタパタと軽快な足取りで、廊下の先へと走っていく

何事だろうと、私が不思議に思ってその視線を追いかけると

そこには、私服姿の陽貴さんが立っていた

紗凪が嬉しそうに駆け寄っていくのを、陽貴さんもまた、溢れんばかりの愛おしさを隠そうともしない、とても幸せそうな顔で迎え入れている

二人が視線を合わせて、お互いの存在を慈しむようにふにゃりと笑い合う

そこだけ、まるで世界が変わったかのように、あたたかくて甘い空気が流れていた

誰が見ても、お互いを心から想い合っていることが伝わってくる

完璧な二人の世界

「……いいな」

ぽつりと、本音が口から零れ落ちた

二人の邪魔をしないように、私は静かにその場から足を進める

二人の姿が、本当に、心から羨ましかった

もちろん、大好きな親友の幸せは心の底から嬉しい

だけど、目の前で大好きな人と笑い合っている紗凪の姿を見ていたら、今の自分とのギャップに、胸の奥がツンと痛くなってしまった

会いたい時に会えて、触れたい時に触れられる 

そんな当たり前の幸せが、今の私にはあまりにも遠い

優朔のぬくもりを思い出して、私の心はまた、行き場のない寂しさでいっぱいになっていた
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