トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
「はい、そこの立ち位置もう一回!」

スタジオへスタッフの声が響く

追加ドームツアーに向けたダンスリハーサル

巨大な鏡張りのスタジオ

汗で重くなったTシャツ

何時間も繰り返されるフォーメーション確認

俺たちは今日も、いつも通り仕事をしていた

「奏、そこ半拍早いよ」

優朔が冷静に指摘する

「え、まじすか?」

「ズレてる」

「うわ最悪」

奏が頭をかきながら笑う

蒼依は床へ座り込んで水を飲んでいた

「いや今回ガチできつくないっすか?」

「お前体力落ちた?」

「歳ですよ、歳」

「まだ26だろ」

いつもの空気

いつもの黒騎士

この時間が、俺は結構好きだった

ステージに立ってる時とは違う

泥臭くて

汗だくで

でも、“4人で作ってる”って感じがする


すると



——バンッ!!



突然スタジオの扉が激しく開いた

全員の視線がそちらへ向く

そこに立っていたのは、マネージャーの黒瀬さんだった

その顔を見た瞬間

空気が変わった

……やばい

誰より先にそう思った

黒瀬さんは基本冷静だ

現場で感情を表に出す人じゃない

そんな人が、明らかに顔色を変えている

「……黒瀬さん?」

蒼依が眉を寄せる

黒瀬さんは数秒黙ったあと、低い声で言った

「お前ら、集まって」

その声に全員がただ事じゃないと悟った

スタッフたちも異変を察したらしい

スタジオ内が一気に静まり返る

俺たちは自然と黒瀬さんの周りへ集まった

奏だけが、少し不思議そうな顔をしていた

「……なんすか?」

黒瀬さんは、一度強く息を吐く

それから静かにタブレットを差し出した

画面には、週刊誌の記事データ

まだ公開前

でもそこに書かれていた文字を見た瞬間

頭が真っ白になった






『黒騎士・桜庭奏
女性への不同意性交疑惑』






空気が、止まる

「……は?」

最初に声を出したのは蒼依だった

優朔の表情が、一瞬で消える

奏は動かなかった

いや動けなかった、の方が正しい
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