トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
「……あのホテルへ足を運んだのは、別の日なんです……」

俺は重い錆びついた扉をこじ開けるように、ゆっくりと、一言一言を噛み締めるように口を開いた

陽貴さんたちが、息を潜めて静かに俺の言葉を待っている

俺は悔しさに、血が滲むほど強く唇を噛み締めた

もう二度と思い出したくもない地獄のような記憶

だけど、今ここで自分の口からすべてを話さなきゃ、俺たちの未来は本当に終わってしまう

「ロケが終わったあの日は、本当に何事もなく普通にそのまま車で帰りました」

あの日、地方での街頭ロケはこれ以上ないほどの大成功を収めていたんだ

すれ違う街の人たちもみんな温かく迎えてくれたし、同行していた番組スタッフの方々も、最高に盛り上がってくれていた

俺自身、心から仕事を楽しめていた

だからこそ、まさかあの眩しい一日の裏側で、俺の人生を木っ端微塵に吹き飛ばすような悍ましい罠が仕掛けられていたなんて、これっぽっちも思っていなかった

「……すべての始まりの連絡が来たのは、そのロケから数日経った後のことです」

「連絡……? どこからだ」

優朔さんが、いつになく険しいトーンで静かに先を促す

俺は力なく、小さく首を縦に振った

「インスタのDMです」

普段の俺なら、公式アカウントのDM欄なんて絶対に開かない

ありがたいことに、世界中から毎日処理しきれないほど大量のメッセージが届くから、すべてに目を通すなんて物理的に不可能だ

だけど、あの日だけは本当に、恐ろしいほどの“たまたま”が重なってしまった

スマートフォンの画面に浮かび上がった通知のプレビューに、一瞬だけ、見覚えのあるアイコンが映り込んだんだ

それは、あのロケの最中に街頭インタビューで偶然言葉を交わした、あの女性だった

ほんの少しの好奇心と、仕事の延長のような軽い気持ちで、俺はそのメッセージを開いてしまった

それが、終わりのない地獄への入り口だった
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