トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
「『軽率だった』、それは事実だ。危機管理の面だけで言えば、一発アウトの失格レベルで甘かったよ」

奏が痛みに耐えるように、きつく目を伏せる

だけど、俺は言葉を止めなかった

「でもな——」

一呼吸置き全員に聞こえるように、はっきりと声を張る

「お前はあの夜、目の前で死にそうになってる一人の人間を、本気で助けようとしたんだろ?」

奏の身体が、嘘のように完全に硬直した

「バカみたいにお人好しで、芸能界で生き抜くには向いてないくらい優しくて……」

「お前はただ、その純粋な優しさを、あの汚い大人たちに利用されただけだ」

俺は衣装のポケットの中で、今度は自分自身の拳をきつく握り締めた。 

腹の底から、どす黒い怒りが激しく込み上げてくる

奏に対してじゃない

この不器用で優しいあいつを泥沼の罠に嵌め、その人生を、黒騎士の未来を木っ端微塵に破壊しようと企んだ、卑劣な連中に対してだ


「お前が今ここにいるのは、お前が誰かを傷つけた犯罪者だからじゃない。ただ、優しすぎて、少しだけ甘かった。それだけだ」

「だから、俺はお前が人を助けようとした、その綺麗で真っ直ぐな根底の動線までを否定する気は、さらさらないよ」

奏の瞳が、激しく揺れ動いた

溢れそうになっていた涙が、今度こそ堰を切って頬を伝っていく

その、張り詰めた沈黙を破ったのは、後ろでずっと腕を組んでいた優朔だった

「……僕も、陽貴と同意見」

いつも通りの低い、落ち着いたトーンで口を開いた

全員の視線が一斉に彼へと向く

優朔はベッドの足元へと歩み寄り、冷徹な瞳のまま奏を見下ろした

「正直、一発殴って目を覚まさせたいくらいには軽率だし、甘いと思う」

「……でも、お前が、そういう理屈抜きで動いちゃう、どうしようもないお人好しなのは、何年も一緒にいる俺たちが一番よく知ってる」

「……優朔、さん……」

「だから、お前が『指一本触れてない、やってない』って言うなら、僕はそれを百パーセント信じるよ」
< 62 / 249 >

この作品をシェア

pagetop