トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
『お前らは今は動くな』

黒瀬さんの声が電話越しに響く

『事務所から連絡が来るまで待機』

『勝手な発信もしない』

『取材にも応じるな』

『分かったな』

「……はい」

俺が答える

『また連絡する』

そこで電話は切れた

ツーツーツー……

無機質な音だけが残る

誰も喋らなかった

さっきまで鳴っていたエアコンの音だけがやけに大きく聞こえる

重い沈黙

息苦しいほどの空気

その時だった

「……俺のせいだ」

奏の小さな声

「全部」

俯いたまま呟く

「俺のせいだ……」

誰も返事をしない

何を言えばいいのか分からなかった

「追加公演も」

「スポンサーも」

「黒騎士も……」

奏の肩が震える

「全部……俺のせいじゃん……」

その声はどんどん掠れていく

聞いているだけで胸が痛くなる

「奏」

俺が呼ぶ

でももう耳に入っていなかった

「なんで俺あの日返信したんだよ……」

「なんで会いに行ったんだよ……」

「なんでホテルなんか行ったんだよ……」

自分を責める言葉ばかり

何度も

何度も

何度も

そして

突然だった


「っあぁ……!」


奏が頭を抱える

髪を掴む

苦しそうに身体を折る

「奏!」

蒼依が立ち上がる

「俺のせいだろ!」

叫び声が部屋に響いた

「全部俺のせいじゃん!!」

涙が止まらない

呼吸も乱れている

「黒騎士終わるじゃん!!」

「陽貴さんが守ってきたのに!!」

「優朔さんも!!」

「蒼依も!!」

「全部台無しじゃん!!」

その姿は俺たちが知っている桜庭奏じゃなかった

いつも笑っていて

空気を読んで

誰かが落ち込んでいたら真っ先にふざける

そんな奏が

完全に壊れかけていた

「奏!」

俺は立ち上がる

でも

奏は止まらない

「もう無理だろ!!」

「俺消えた方が早いじゃん!!」

「俺がいなければ済む話だろ!!」

涙でぐしゃぐしゃの顔





「誰か……」





震える声




「誰か俺を殺してくれよ……」





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