トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
「精神的苦痛を受けているのは桜庭さんも同じです」
宮城先生の声が会場に響く
さっきまで攻勢だった記者が一瞬言葉を失った
宮城先生は続ける
「現時点で記事内容を裏付ける客観的証拠は提示されておりません」
「一方で桜庭さんは、事実無根の記事によって社会的信用を著しく傷つけられています」
声は穏やかだった
でもその一言一言に圧がある
「現在も誹謗中傷が続いております」
「心身への影響も出ています」
「その点についてはどうお考えですか?」
逆に問い返された記者は言葉に詰まる
会場が静まり返った
誰も口を開かない
数秒後
その記者は小さく頭を下げた
「……失礼しました」
そして座る
それ以上の追及はなかった
俺は思わず息を吐く
すげぇ…さすが専任弁護士
感情的にならず相手を責める訳でもなく
それでいて完全に流れを変えた
隣を見る
奏も少しだけ肩の力を抜いていた
でも会見は終わらない
すぐに次の手が上がる
「黒騎士の今後の活動について教えてください」
「追加ドーム公演は予定通り開催されますか?」
「スポンサーへの影響は?」
「桜庭さんの活動自粛は検討されていますか?」
次々と飛んでくる質問
俺たちは必死に答える
言葉を選びながら
一つ一つ
慎重に
途中
蒼依も質問を受けた
「蒼依さんは今回の件をどう受け止めていますか?」
蒼依はマイクを握る
少しだけ緊張しているのが分かった
でも真っ直ぐ前を見て言った
「僕は奏を信じています」
その一言
それだけだった
でも十分だった
続いて優朔
「優朔さんは?」
優朔は迷わなかった
「同じです」
「俺たちは長い時間一緒にやってきました」
「だから信じています」
その言葉に会場の空気が少し変わった気がした
黒騎士全員が同じ方向を向いている
それが伝わったのかもしれない
そして気付けば会見開始から一時間近く経っていた
何十もの質問
何十回ものフラッシュ
喉は痛い
頭も重い
でもまだ終わらない
すると会場後方から手が上がる
今までとは少し違う空気
女性記者だった
「最後に桜庭さんへ質問です」
会場が再び静まる
奏が顔を上げる
女性記者はしばらく奏を見ていた
そして聞いた
「今、一番伝えたいことは何ですか」
その瞬間会場の空気が変わった
責める質問じゃない
誘導でもない
ただ本人の言葉を聞こうとしている質問だった
奏は少し驚いた顔をする
数秒沈黙する
俺も息を止める
そして
奏はマイクを握り直した
少し震える手
でもその目はしっかり前を向いていた
「……正直」
掠れた声
「怖かったです」
会場が静かになる
「今も怖いです」
「ネットも」
「ニュースも」
「全部」
奏は小さく息を吐いた
「でも」
顔を上げる
「信じてくれる人がいました」
俺を見る
優朔を見る
蒼依を見る
そして
「だから今日ここに立てました」
その言葉に会場は静まり返ったままだった
「僕はやっていません」
「それだけは本当です」
真っ直ぐな声
取り繕った言葉じゃない
本音だった
その瞬間
俺は思った
少なくとも今日の奏は逃げなかった
どれだけ怖くても
どれだけ傷ついていても
ちゃんと前を向いて立った
それだけは誰にも否定できないと思った
宮城先生の声が会場に響く
さっきまで攻勢だった記者が一瞬言葉を失った
宮城先生は続ける
「現時点で記事内容を裏付ける客観的証拠は提示されておりません」
「一方で桜庭さんは、事実無根の記事によって社会的信用を著しく傷つけられています」
声は穏やかだった
でもその一言一言に圧がある
「現在も誹謗中傷が続いております」
「心身への影響も出ています」
「その点についてはどうお考えですか?」
逆に問い返された記者は言葉に詰まる
会場が静まり返った
誰も口を開かない
数秒後
その記者は小さく頭を下げた
「……失礼しました」
そして座る
それ以上の追及はなかった
俺は思わず息を吐く
すげぇ…さすが専任弁護士
感情的にならず相手を責める訳でもなく
それでいて完全に流れを変えた
隣を見る
奏も少しだけ肩の力を抜いていた
でも会見は終わらない
すぐに次の手が上がる
「黒騎士の今後の活動について教えてください」
「追加ドーム公演は予定通り開催されますか?」
「スポンサーへの影響は?」
「桜庭さんの活動自粛は検討されていますか?」
次々と飛んでくる質問
俺たちは必死に答える
言葉を選びながら
一つ一つ
慎重に
途中
蒼依も質問を受けた
「蒼依さんは今回の件をどう受け止めていますか?」
蒼依はマイクを握る
少しだけ緊張しているのが分かった
でも真っ直ぐ前を見て言った
「僕は奏を信じています」
その一言
それだけだった
でも十分だった
続いて優朔
「優朔さんは?」
優朔は迷わなかった
「同じです」
「俺たちは長い時間一緒にやってきました」
「だから信じています」
その言葉に会場の空気が少し変わった気がした
黒騎士全員が同じ方向を向いている
それが伝わったのかもしれない
そして気付けば会見開始から一時間近く経っていた
何十もの質問
何十回ものフラッシュ
喉は痛い
頭も重い
でもまだ終わらない
すると会場後方から手が上がる
今までとは少し違う空気
女性記者だった
「最後に桜庭さんへ質問です」
会場が再び静まる
奏が顔を上げる
女性記者はしばらく奏を見ていた
そして聞いた
「今、一番伝えたいことは何ですか」
その瞬間会場の空気が変わった
責める質問じゃない
誘導でもない
ただ本人の言葉を聞こうとしている質問だった
奏は少し驚いた顔をする
数秒沈黙する
俺も息を止める
そして
奏はマイクを握り直した
少し震える手
でもその目はしっかり前を向いていた
「……正直」
掠れた声
「怖かったです」
会場が静かになる
「今も怖いです」
「ネットも」
「ニュースも」
「全部」
奏は小さく息を吐いた
「でも」
顔を上げる
「信じてくれる人がいました」
俺を見る
優朔を見る
蒼依を見る
そして
「だから今日ここに立てました」
その言葉に会場は静まり返ったままだった
「僕はやっていません」
「それだけは本当です」
真っ直ぐな声
取り繕った言葉じゃない
本音だった
その瞬間
俺は思った
少なくとも今日の奏は逃げなかった
どれだけ怖くても
どれだけ傷ついていても
ちゃんと前を向いて立った
それだけは誰にも否定できないと思った