トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
記者会見から数日
世間は相変わらず騒がしかった
少し落ち着いたと思ったらまた動画が拡散され
またニュースになる
またSNSで議論になる
その繰り返し
俺たちは事務所の判断で自宅待機になっていた
本来なら今頃追加ドームツアーのリハーサル
テレビ収録、雑誌撮影、スケジュールはびっしりだったはずだ
でも今は違う
家にいる
時間だけはある
なのに落ち着かない
何も手につかない
スマホを見る
ニュースを見る
また閉じる
そんなことを何度も繰り返していた
会社も、黒瀬さんも、宮城先生も
本当に必死に動いてくれている
ホテル
DM
監視カメラ
関係者への聞き取り
考えられることは全部やっているらしい
でも決定打がない
奏の無実を証明する証拠が見つからない
それが苦しかった
世間は証拠を求める
信じるだけじゃ足りない
だから難航していた
そんな中、奏のご両親が東京へ来た
正直少し安心した
あいつは限界だったから
会見を乗り越えたとはいえまだ本調子には程遠い
睡眠薬を飲まないと眠れていないようだったから
食欲も戻りきっていない
精神的な疲労は想像以上だった
その日、俺たちは事務所で集まっていた
奏もいた
以前より少し痩せた気がする
それでも笑おうとしていた
そんな姿が逆に痛々しかった
しばらくして事務所の扉が開く
「奏」
優しい声だった
振り向く
そこには奏のお父さんとお母さんが立っていた
二人とも疲れた顔をしている
きっと毎日ニュースを見て、眠れない日々を過ごしていたのだろう
お母さんは奏を見るなり目を潤ませた
「奏……」
その声を聞いた瞬間だった
奏の表情が崩れた
今まで必死に堪えていたものが全部溢れ出したみたいに
「母さん……」
声が震える
そして
次の瞬間
涙が零れ落ちた
「ごめん……」
掠れた声
「本当にごめん……」
「心配かけて……」
「ごめん……」
何度も
何度も
謝る
見ているだけで胸が痛くなった
でもお母さんは首を横に振る
そして奏を抱きしめた
子どもの頃と同じように
優しく
「謝らなくていいの」
涙声だった
「奏がそんなことする子じゃないって」
「私たちは最初から分かってるから」
その言葉に奏がさらに泣き崩れる
お父さんも隣へ来た
大きな手で奏の肩を叩く
「よく頑張ったな」
短い言葉
その一言に全てが詰まっていた
奏は声を上げて泣いていた
ここ数週間
誰にも見せられなかった涙
ずっと押し殺していた感情
それが今ようやく出てきたのかもしれない
俺は思わず目を伏せる
優朔も
蒼依も
何も言わない
ただ静かにその光景を見ていた
しばらくして
奏のお父さんがこちらを向いた
そして深く頭を下げた
「皆さん」
俺たちは慌てて立ち上がる
「やめてください」
そう言おうとした
でもお父さんは頭を上げなかった
「守ってくれてありがとうございます」
静かな声だった
「奏を信じてくれて」
「本当にありがとうございます」
隣でお母さんも頭を下げる
俺たちは言葉を失った
守ったなんて
そんな大層なことはしていない
当たり前のことをしただけだ
仲間だから
信じただけだ
それなのに
こんな風に言われると胸が苦しくなる
優朔が先に口を開いた
「当然です」
真っ直ぐな声だった
「家族みたいなもんなんで」
蒼依も頷く
「奏は俺たちの仲間ですから」
奏が泣きながら俯く
俺はそんな奏の肩を軽く叩いた
「実家でゆっくり休んでこい」
奏がこちらを見る
赤くなった目
泣き腫らした顔
それでも
少しだけ笑った
「……はい」
その返事を聞きながら俺は思った
今は休めばいい
傷付いた心を治せばいい
戦うのはまたその後だ
必ず
真実は見つける
そのためにも今は一度奏に休んでもらおうと思った
世間は相変わらず騒がしかった
少し落ち着いたと思ったらまた動画が拡散され
またニュースになる
またSNSで議論になる
その繰り返し
俺たちは事務所の判断で自宅待機になっていた
本来なら今頃追加ドームツアーのリハーサル
テレビ収録、雑誌撮影、スケジュールはびっしりだったはずだ
でも今は違う
家にいる
時間だけはある
なのに落ち着かない
何も手につかない
スマホを見る
ニュースを見る
また閉じる
そんなことを何度も繰り返していた
会社も、黒瀬さんも、宮城先生も
本当に必死に動いてくれている
ホテル
DM
監視カメラ
関係者への聞き取り
考えられることは全部やっているらしい
でも決定打がない
奏の無実を証明する証拠が見つからない
それが苦しかった
世間は証拠を求める
信じるだけじゃ足りない
だから難航していた
そんな中、奏のご両親が東京へ来た
正直少し安心した
あいつは限界だったから
会見を乗り越えたとはいえまだ本調子には程遠い
睡眠薬を飲まないと眠れていないようだったから
食欲も戻りきっていない
精神的な疲労は想像以上だった
その日、俺たちは事務所で集まっていた
奏もいた
以前より少し痩せた気がする
それでも笑おうとしていた
そんな姿が逆に痛々しかった
しばらくして事務所の扉が開く
「奏」
優しい声だった
振り向く
そこには奏のお父さんとお母さんが立っていた
二人とも疲れた顔をしている
きっと毎日ニュースを見て、眠れない日々を過ごしていたのだろう
お母さんは奏を見るなり目を潤ませた
「奏……」
その声を聞いた瞬間だった
奏の表情が崩れた
今まで必死に堪えていたものが全部溢れ出したみたいに
「母さん……」
声が震える
そして
次の瞬間
涙が零れ落ちた
「ごめん……」
掠れた声
「本当にごめん……」
「心配かけて……」
「ごめん……」
何度も
何度も
謝る
見ているだけで胸が痛くなった
でもお母さんは首を横に振る
そして奏を抱きしめた
子どもの頃と同じように
優しく
「謝らなくていいの」
涙声だった
「奏がそんなことする子じゃないって」
「私たちは最初から分かってるから」
その言葉に奏がさらに泣き崩れる
お父さんも隣へ来た
大きな手で奏の肩を叩く
「よく頑張ったな」
短い言葉
その一言に全てが詰まっていた
奏は声を上げて泣いていた
ここ数週間
誰にも見せられなかった涙
ずっと押し殺していた感情
それが今ようやく出てきたのかもしれない
俺は思わず目を伏せる
優朔も
蒼依も
何も言わない
ただ静かにその光景を見ていた
しばらくして
奏のお父さんがこちらを向いた
そして深く頭を下げた
「皆さん」
俺たちは慌てて立ち上がる
「やめてください」
そう言おうとした
でもお父さんは頭を上げなかった
「守ってくれてありがとうございます」
静かな声だった
「奏を信じてくれて」
「本当にありがとうございます」
隣でお母さんも頭を下げる
俺たちは言葉を失った
守ったなんて
そんな大層なことはしていない
当たり前のことをしただけだ
仲間だから
信じただけだ
それなのに
こんな風に言われると胸が苦しくなる
優朔が先に口を開いた
「当然です」
真っ直ぐな声だった
「家族みたいなもんなんで」
蒼依も頷く
「奏は俺たちの仲間ですから」
奏が泣きながら俯く
俺はそんな奏の肩を軽く叩いた
「実家でゆっくり休んでこい」
奏がこちらを見る
赤くなった目
泣き腫らした顔
それでも
少しだけ笑った
「……はい」
その返事を聞きながら俺は思った
今は休めばいい
傷付いた心を治せばいい
戦うのはまたその後だ
必ず
真実は見つける
そのためにも今は一度奏に休んでもらおうと思った