夜風にさらわれたお姫様

「起きたか」

低い声。

榴愛が顔を上げる。


そこにいたのは――。

黒崎竜人。


「……っ」

恐怖で身体が震える。

竜人は壁へ寄りかかりながら榴愛を見る。

「そんな怯えんな」

「……帰してください」

「無理」

即答。

榴愛は唇を噛む。

「煌夜が迎え来るぞ」

竜人は少し笑った。

「それが目的だ」

その言葉に背筋が冷える。

「お前は餌」

「……っ」

悔しい。

怖い。


でも。

一番嫌なのは。

煌夜が危険になることだった。

竜人は榴愛へ近付く。

「白城煌夜」

低い声。

「アイツ、お前のことになると冷静さ失う」

榴愛は睨み返した。

「……だから何ですか」

竜人は少し目を細める。

「強ぇな、お姫様」


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