私が拾ったのは、千年前の皇子様でした

第26話 悠真の家族

居間へ行くと、祖母と母が、
悠真に何か見せているようだった。

悠真も興味津々で見入っている。

「何してるの?」

そっと覗き込むと、そこには私の小さな時のアルバムが広げられていた。

「ちょっ、何してるのよ!」

慌ててアルバムを取り上げる。

しかし、その下にも何冊ものアルバムが広げられていた。

「昔は千紘も素直で可愛かったのよぉ」

「やめてよっ」

「千紘がですか?」

考えられないと言った表情で、
驚いている悠真の頭を叩く。

「あんなに可愛かったのになぁ……」

悠真は頭を抑えながら言った。

「なんか言った?」

悠真を睨みつける。

「いえ、なんでもありません」

そんな私たちを見て、母と祖母は嬉しそうに笑った。

「まるで夫婦みたいだね」

「ほんとに」

その言葉に顔が熱くなる。

「千紘、照れてるの?」

「照れてないって!」

母は楽しそうに私をからかってくる。

「悠真くんは写真とかないの?」

祖母の言葉に、一瞬悠真が固まる。

悠真は古代人だ。

写真なんてあるはずもない。

「ご家族はどんな方なの?早くお会いしてみたいわ」

心配になり悠真を見る。

悠真はうつむいたまま何も言わない。

「悠真くん?」

「悠真はーー」

私が庇おうとした時だった。

悠真は顔をあげ、にっこりと笑った。

「父は僕が幼い頃に亡くなりました。母の顔も、ほとんど覚えていません。兄弟もいましたが、仲は良くありませんでした。僕が唯一、心を許せたのは妹だけでした。」

私は息をのむ。

「でも、その妹も……亡くなってしまいました。」

悠真は笑っている。

それなのに、その笑顔はどこか寂しかった。

「そんな……」

母は言葉を失う。

祖母も胸の前で手を合わせていた。

少しの沈黙が流れる。

やがて悠真は、私の方を見た。

優しく、穏やかに笑う。

「そんな僕を支えてくれたのが、千紘でした。」

「悠真……」

「千紘は、僕にたくさんの幸せをくれました。
笑うことも。誰かと食卓を囲む温かさも。帰る場所がある安心も。」

一つ一つ、噛みしめるように言葉を紡ぐ。

「だから今度は……」

悠真は少し照れくさそうに笑った。

「今度は僕が、千紘を幸せにしたいんです。それが、僕の一番の願いです」

それを聞いた、母と祖母は涙を流していた。

私も、溢れそうになる涙を必死に堪えた。

その後、アルバムを片付けた母と祖母は静かに、自分たちの部屋へ戻って行った。

「私たちも寝よっか」

「うむ」

そう言って、私たちも寝る部屋に向かった。
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