私が拾ったのは、千年前の皇子様でした
その日の夜、
私は不思議な夢を見た。
優しい笑みを浮かべる、一人の男。
風が吹くたび、
長い黒髪が静かに揺れる。
ここは、どこだろう。
見上げれば、
立派な木造の建物。
周囲の人々は、
私たちに深々と頭を下げている。
私は、美しい衣を身にまとっていた。
腕には見たことのない装飾。
耳元では、小さな飾りが揺れている。
「軽大娘」
男はそう呼びながら、
そっと手を差し出した。
私は迷うことなく、
その手を取っていた――。
ピピピーー
目覚ましの音で、目が覚めた。
夢なのに、とてもリアルだった。
時計を見ると、8:00。
「やばっ」
急いで、飛び起きる。
遅刻だ!
ってあれ?
スマホの画面を見ると、土曜日と表示されていた。
「よかったぁ……」
ほっとして、ベットに腰掛けようとした時だった。
「あ!あいつは!」
急いで寝室のドアを開ける。
ソファを見ると、男の姿はなく、
クッションやブランケットも元に戻っている。
やっぱり、酔っ払ってただけか……
ふと、横を見る。
「な、なにやってんだ!」
そこには、正座をしている男の姿があった。
現実だったのか。
「あの……なにをしてるの?」
そう声をかけると、男は勢いよく立ち上がり、
私の肩を掴んだ。
なぜか険しい顔をしている。
「な、なに!?」
私が驚いていると、男は安心したように、
肩から手を離した。
「どうしたの?」
恐る恐る聞いてみる。
すると、男は心配そうに私を見て、
「昨晩、うなされていたようで心配だったのだ」
と優しく言った。
「うなされてた?」
「声が聞こえて、入ろうとしたが、この扉が開かなくてな。諦めて、ここで待っていたのだ」
キュン。
心臓が跳ねる。
なんなの、こいつ。
性格までイケメンかよっ。
もう、やめてくれぇ……
キュン死してまうやろぉ!!!