私が拾ったのは、千年前の皇子様でした
「悠真……!」

私は夢中で駆け出した。

「バカ!」

悠真の腕の中に飛び込む。

それと同時に、悠真の持っていた傘が、
地面に落ちる。

「どこ行ってたの!」

悠真の胸を叩く。

「どれだけ心配したと思ってるの!」

叩く力は弱い。

それでも止まらない。

涙も止まらない。

「我は……」

悠真が何か言おうとする。

「話なんて聞きたくない!」

私は叫んだ。

「いなくなったのかと思った……」

声が震える。

「もう会えないのかと思った……」

涙で前が見えない。

「嫌なの……」

その一言を口にした瞬間、もう我慢できなかった。

「悠真がいなくなるのなんて、絶対に嫌……!」

私は泣きながら、悠真の服をぎゅっと掴んだ。

すると悠真は、私の両肩を優しく抱き寄せる。

「すまなかった」

静かな声だった。

「千紘を悲しませるつもりなど、少しもなかった」

私は首を横に振る。

「違う……」

「え?」

「私が悪いの……」

「朝、悠真の話も聞かないで……」

「働きたいっていう気持ちも否定して……」

「だから出て行っちゃったのかと思って……」

悠真は驚いたように目を見開いた。

「我が、お主の前から姿を消すと思ったのか?」

私は小さく頷く。

すると悠真は、困ったように笑った。

「千紘」

雨に濡れた私の髪を、そっと撫でる。

「我は約束する」

真っ直ぐな瞳だった。

「何があろうと、
何も言わずにお主の前から姿を消すことはない」

私は涙を流したまま、その言葉を聞いていた。

「だから安心せよ」

そう言うと悠真は、私を優しく抱きしめた。
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