愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
「…ありがとう。蓮も23歳のお誕生日おめでとう。蓮の夢や願いが叶う素敵な一年になりますように」
菜穂からの心のこもった祝いの言葉に、胸が熱くなる。彼女も、涙ぐんだ理由が同じだったらいいのにと思う。
「あぁ、そうなるはずだ。ありがとうな」
俺の誕生日史上、こんなに嬉しいと思う誕生日は、初めてだった。
「じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ」
「帰らないの?」
「お前が家の中に入るまで見送ったら帰る」
「…わかった。じゃあね」
手を振り門まで走って行ったが、門の前で振り返った菜穂が、可愛く笑う。
早く中へ入れと促し、彼女が見えなくなった瞬間、腰を落とし頭を抱えた。
つれなかった菜穂が、手を振り可愛く笑ったのだ。
クソ、可愛いじゃないか…
これまで何度か彼女を家まで送ってきたことはあった。だが、今日のように胸がドキドキしたのは初めてだった。
菜穂の可愛い一面を知ろうともしなかった男が、脳裏にチラついた。
「バカな奴…」
大事にしていれば、手放すこともなかったはず。
いや、大事にしていたとしても、菜穂を手に入れる為に俺は策略を巡らせるような男だ。
なぜなら、桐谷の男どもは、そうして愛すべき女を手に入れてきたのだから…