私は‪‪✕‬‪✕‬を知らないⅢ








『眠たいの?』


『少し』


『ならよっぽどなのね』


間髪入れずに答えたこいつに言い返そうとも思うが、疲れるだけだと判断し視線を窓の外へと向ける。


『図星なのね』


『うるさい』


『はいはい』


昼寝日和と言わんばかりの気温と天候なんだ。こうなるのは致し方ないというもの。


我ながら無愛想な返事を聞いてこいつは先程まで練習していたピアノへと戻る。


休憩しに来たんじゃなかったのか?


チラリと視線で追えば「お昼寝のお供に軽く演奏してあげるわ」なんて返しやがる。日に日に態度がでかくなっているのは気のせいではないだろう。


まぁ、どーでもいいけど。


鍵盤に指が触れたのを合図に、瞼を閉じて演奏を聞く。


そのソプラノの声で歌も口ずさんだそれ(・・)は余りにも心地が良かった。


が、





『なんでキラキラ星なんだよ』


演奏が終えると同時に疑問を投げかければ、


『だって私、子守唄なんて知らないもの』


と、唇を尖らせながら俺の腰掛けている窓枠へ隣に座るようにして腰を下ろした。


『なんだよそれ』


『いいのいいの。細かい事は気にしない!それよりもさ、私がこうしてる間暇じゃないの?』
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