凸凹だっていいじゃないか
「ごめんね、英単語帳貸して?」

 ……ホントに来たわ杏奈が。
 はい、いくらでも貸します。どうぞどうぞ。なんなら貸させて?

 不気味な思考を取っ払って、ロッカーへ取りに行く。
 でも残念ながら、忙しそうだ。
 英会話の教室は1階にあるため、4階暮らしの1年にはキツい。

「どうぞー」

 杏奈に手渡すと。

「ありがとねぇー。あーホントよかった。5回連続忘れるとこだった」

 心底安心したような顔で、へにゃりと笑ってきた。
 ……不意打ち、不覚にもくらいましたご馳走様。

 杏奈は、そのまま走って去ろうとする。

「……杏奈」

 彼女は忙しいってわかっているのに、呼び止めた。
 聞こえなかったようで、そのまま走って行ってしまう。
 ……聞こえなくて、よかった。
 聞こえていて足を止めてくれたって、変なことしか話せないだろうから。

 夜、私はメールを送った。

 『入学式、置いていかれるちゃったんだって?
 2人には、お灸据えといたから大丈夫だよ。
 今度何かあったら、遠慮なく言ってね』

 奈央と百合乃さんにも、長文メールを送っておいた。ふぅ、いっちょ上がりぃ。
 その後、杏奈からの返信。

 『感謝しまする』

 ……かわいいが過ぎると思います。はい。
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