傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
◇
彼女から片瀬さんにアプローチをしたいと告げられて二週間。
彼から総合病院に出した見積もりがそのまま採用されるとの報告を受けた。
正式に取引が開始したあとは私の仕事だ。先方から新たな提案が欲しいと言われたり、営業さん目線で新たな商品を持っていきたいといった希望でもない限り、通常の事務処理で事足りてしまう。
つまり、これで彼との仕事もひとまず終わりだ。
そのことに安堵していると、今度はその案件と入れ替わるような形で井上さんと彼が新たな案件に取組むことになった。
「片瀬さん、打ち合わせしましょ!」
「いや、今日はそんなに報告することも……」
「ここだと周りの迷惑になっちゃいますし! ね? 会議室に行きましょう!」
井上さんはこれ見よがしに片瀬さんの腕を引っ張り、会議室へ連れて行こうとする。
その際、ちらりと私を見てはほくそ笑むのだ。
なんだか私の反応を伺っているかのような素振りに、居心地が悪くなる。
そもそも、片瀬さんと私の間にはなにもない。ただの隣人であり、案件が終われば会社での関わり方も必然的に減っていく。
だからモヤモヤする必要もないのに、なぜか片瀬さんが井上さんの傍にいるとモヤモヤして胸が苦しくなる。
そして、もうひとつ、私の頭を悩ませる頭痛のタネがあった。