物置小屋令嬢、気づけば最高位の貴族になっていました ~家族に厄介払いで嫁がされた先で、楽しく物づくりした結果~

25話

「首席のヴィーネ=モンブラーと申します。治安維持部隊総括のデズム子爵家の長女です。お兄様もこの学園は首席で入学していました。お兄様の功績に恥じないよう、こうして私も首席で入学できたことを誇りに思っております。どうぞ首席の私をよろしくお願いしますね」

 首席って何回言ったのだろう。
 ちょっとしつこかったような気もする……。
 私も次席とか言ったほうが良いのかもしれないが、やめておく。

 私はその場で挨拶することにした。

「ソフィーナと申します。みなさんと仲良く楽しく学園生活ができたら嬉しいです。よろしくお願いします」

 こんなに大勢いる中で喋ったことなどない。
 緊張しすぎてしまい、喋ろうと思ったことはほぼカットしてしまった。
 ただの挨拶だけで終えてしまったが、まぁ良いか。
 と、思っていたのだが……。担任のセドム先生から痛い視線が来る。

「ソフィーナ君。肝心なことを主張しなくて良いのか? 確かキミは……」
「いえ、充分です」

 緊張で、かぁぁぁぁぁっとなってしまい、これ以上喋ったら私が大変なことになりそうだった。
 国王陛下とは親しんで喋ることができるし、叙爵式のときは大勢の人前に立っていたというのに、ここだとなぜか上がってしまう。
 レオルド様がいないと、こんなに変わってしまうのか。
 もしくはここでも物置小屋生活でのトラウマが……。
 徐々に克服できるように頑張っていこうと思う。

「さて、今日は入学初日だ。この日には魔法学科の諸君には必ずやってもらうことがある」

 セドム先生は、私が見慣れている道具をよいしょよいしょと運んできた。
 これは、レオルド様が追加で作っていた魔力測定器だ。
 入学式前に新しい物をふたつ作ってくださり、それを弁償として学園に届けてくれたのである。
 なお、残りのひとつは自宅用だ。

「諸君はこれから魔法を学び、訓練する。まずは今の段階での実力を知る必要があるため、抜き打ちでこのようなことをするのだ」
「ひぇぇ……、朝浄水で魔法使っちゃったのに……」
「水を出したばかりですのに……」
「本気でやって、すごいところを見せつけよう」

 生徒たちからも、これはヤバいというような発言が多い。
 実のところ、私も今はマズかった。
 朝、自宅にも設置した魔力測定器に、ほとんどの魔力を注いでしまったばかりである。
 前回の試験で破壊してしまったものの、この魔力測定器ならば本気で力を使っても壊れない。
 さっきやったばかりだからなぁ……。

「静かに。皆の力で学園内のトイレや水、ライトも維持できるのだから手を抜かないようにな」

 そっちが目的な気もするが、誰も先生にはツッコんでいなかった。
 本調子は出せないものの、私は今できる限りの力を注ぐことにした。
 今回も失敗と言わざるを得ないだろうが、もう失敗だと思わずに、常に全力で挑む。
 レオルド様から、そう教わったのだから。

 自己紹介と同じ順番でやるそうで、私は最後だ。
 それまでの短い時間の間に、少しでも魔力が回復できるように魔力循環の訓練と同じことをした。
 同級生の魔力も見たいけれど、それどころではない。
 目を瞑り、魔力回復に集中した。

「おい、ソフィーナ君! ソフィーナ君っ!!」
「ほはっ!!」
「変な返事をするな。入学初日から昼寝をするなど気がたるんでいる。キミの番だ!」
「も、申しわけございません!」

 集中しすぎて周りが全く見れていなかった。
 とは言っても、集中できた時間はごくわずか。普段訓練している時間の一割にも満たない。
 ほぼ空っぽだった魔力から、概ね1%弱回復できた程度に過ぎない。
 それでも、魔力が尽きるギリギリのところまで力を注いだ。

 終わって魔力切れ寸前だった。
 ここまで魔力を使い果たしたのは初めてで、意識が朦朧としている。
 教室内の同級生、そしてヴィーネ義姉様、さらにはセドム先生が、口を開けたまま無言だった。
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