物置小屋令嬢、気づけば最高位の貴族になっていました ~家族に厄介払いで嫁がされた先で、楽しく物づくりした結果~

27話【Side】

 プリドラ学園生活初日の帰宅後。
 ヴィーネは慌てながら真っ先に父デズムのところへ走った。

「ヴィーネよ。学園初日はどうだった?」
「それが……。マズいことになってしまいましたの」
「なんだ? スカートめくりでもされたのか? その者を私の権力で極刑にできるが」
「いえ、もっとマズいことです」
「ほう……」

 ヴィーネが血相を変えた表情を見て、デズムにも緊張が走る。

「ソフィーナの魔力が、本当に魔力測定器を破壊できるほどの実力を持っている可能性が出てきまして……」
「なんだと⁉︎」
「10220というとんでもない数値を出したのです」
「10220……。魔力に特化したモンブラー家の私の魔力とほぼ同等の力を出せるというのか……」
「いえ、もしもソフィーナの言うことが本当だとしたら、その何倍もの力を出せるかと」
「王宮直属魔導士と同等、いや、それ以上ということか⁉︎」

 デズムは王宮の魔導士に匹敵するほどの魔力を持っている。
 そのため、魔力の高いミアと政略的な結婚をし、魔力に優れた子を作る予定だった。
 その結果、長男ブルクシアと長女ヴィーネは、プリドラ学園の首席で入学できたのだ。
 しかし、ソフィーナはデズムと不倫相手の間にできた子だとデズムは思っている。
 不倫相手に魔力があったかどうかなど度外視だった。
 もしもソフィーナの魔力が規格外だということがミアに知られたら、さらに怒り狂うことは目に見えてわかることである。

「ひとまず、ソフィーナの魔力に関しての疑惑はミアだけには絶対バレないようにしろ」
「もう確信しているようにしか聞こえないのですが……。私よりもあんな平民の血を引いた女が魔力が高いだなんて思いたくありませんよ!」
「わかっている。なにかの間違いだとは思う。いくらソフィーナに私の血が一部流れているにしても、10000を超える魔力を持つなんてありえない。仮にそうだとしたら、産んだ女に相当な魔力が流れていたということになるのだからな……」

 理屈としてはデズムは間違えていない。
 しかし、物置小屋でソフィーナが毎日やっていたことを知らないのだ。
 そして、デズムはとんでもない勘違いをしていることも知る術もない。

「仮に、万一にもソフィーナの魔力が本物だったとしても、まだ打つ手はある」
「私の首席の地位がダメになってしまうなんてことはないのですね?」
「あぁ。私としても、ミアとの間にできた息子、娘それぞれが首席という結果は誇りに思っている。決して覆されてはならない。そのためにはなんでもしよう」
「と、言いますと?」
「魔力測定器を製造している者を知っている。権力を使ってでも、不良品だった、もしくは予めソフィーナの魔力の反応だけは良い数値になるよう改造させたものだとでも言いくるめさせればなんとかなる」
「ふう……。まぁ保険ですよね。ソフィーナがそんなに騒がせるほどの力があるなんて思いませんし」
「私もなにかの間違いだと思う。だが念のためだ。よりにもよってソフィーナなどに負けるなんて結果を残すわけにはいかない。私とミアの子どもたちが将来の王都でトップで活躍できるようにしたいのでな」

 デズムも焦っていた。
 せっかく自分の大事に育ててきた子が二人とも名誉ある学園で首席になったのだ。
 この結果が覆されることがあってはならない。
 一度そうなってしまった以上、たとえ不正をしてでも結果を残したいと思うようになっていた。

「私はどうしたら良いのです?」
「今までどおりに学園生活を楽しめば良い。ただし、ソフィーナが不正をしていると思ったことは全て覚えておくように。都度報告してくれ。こちらとしても、監視の目を向けるよう動くことにする」
「はい。わかりました。必ず尻尾をつかんでみせます」

 デズムの下した決断が、自分たちの首を締めることになるなど知る術もなかったのだ。
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