物置小屋令嬢、気づけば最高位の貴族になっていました ~家族に厄介払いで嫁がされた先で、楽しく物づくりした結果~

34話

 判定用紙を開発してくれたレオルド様のおかげで、また新たな気持ちで学園に通えるようになった。
 もう、今まで悩んでいた自分にさようならである。

 教室に入ると、いつものようにヴィーネが一番乗りで登校していて、続いて私が二番目である。
 誰もいないため、毎度のこと睨みつけられた。
 だが、もう我慢する必要はなくなった。

「おはようございますヴィーネさん。私になにか?」
「な⁉︎ いきなりなによその呼び方!」
「ではどのような呼び方をすればよろしいのでしょうか? 同級生でしょう。対等に接したいと思ったまでですが」

 ヴィーネは予想通りに表情が引きつっていく。

「ついに私のことを義理の姉とも思えなくなったのね?」
「はい。今後は同級生としてよろしくお願いいたします」
「ふん。別にそんなつもりもないわ。あなたなんて近々この学園から追い出してやるんだから! この不正女!」
「不正はしていませんよ」
「さぁ。どうかしらね! 今日にでも真実がわかるんじゃないかしら!」

 今日のヴィーネはどういうわけか自信に満ち溢れていた。
 だが、それは私も同じことである。
 これ以上言い争っても仕方ないため、無視して自分の席に着席した。

「逃げるのね! ほんっとよわよわのダサ女よね。ちょっとでも血がつながっていると思うと情けなくなるわ。このモンブラー家の疫病神!」

 散々暴言を吐かれまくっていたが、続いて同級生が入ってくると、急に無言になる。
 これもいつものことだ。

 今までは耐えなければならないと思っていたが、今はもう違う。
 そのことはまだ本人に言うつもりもないが、いずれヴィーネ自身で知ることになるだろう。

 ♢

 昼休み、レオルド様と会うために廊下を歩いていたら、正面から突如声をかけられた。

「君が噂で聞くソフィーナかい?」

 声をかけてきたのは、青髪でスタイル抜群高身長のイケメン男子である。
 女子からさぞ外見ではモテるに違いないだろう。
 だが、私はすでにレオルド様のことを絶賛溺愛中のため、カッコいいとしか思えない思考になっている。
 平然として会釈をした。

「はい、ソフィーナと申します。なにかご用でしょうか?」
「会話をするのも初めてだね。僕はブルクシア=モンブラー。キミの義理の兄だよ」

 一瞬驚きつつ、改めてもう一度青髪のブルクシア様を観察した。
 髪色は違うものの、デズム子爵の面影は確かにある。
 だが、未だに疑ってしまった。
 こんなに腰が低く、そして口調も穏やかに挨拶してきたためだ。
 モンブラー家の人たちは全員私のことを邪魔者扱いし恨んでいると思っていたのだから。

「話には聞いています。生徒会長をされているのですよね?」
「そうだよ。もちろんソフィーナが試験で強力な魔力を放ったことも知っている。正直、驚いたよ……」
「え? ブルクシア様は私のことを疑わないのですか?」
「冷静に考えればわかることじゃないかな? 確かに最初聞いたときはどういう方法で魔力測定器を壊したのかと思ってしまった。けれども、そんなことをしたって、魔法学科では魔力に関する授業を定期的にやっている。おまけに頻繁に魔力測定を行うんだ。たとえ不正で合格したってすぐにバレて退学になることくらい分かるはずなんだよね」

 ブルクシア様は冷静に物事を考えるタイプのようだ。
 さすが生徒会長。
 彼の話に少しずつ惹かれていき、興味を持ち始めた。

「父上からは、不正しているソフィーナをどうにかしろと言われていたんだけどね。はっきり言って僕にはキミをどうするつもりもないよ。むしろ、こうしてやっと見つけたから、謝りたいと思っていたんだ」
「はい? なににですか?」
「父上の話を鵜呑みにしすぎて、今までずっとソフィーナのことをダメ人間だと思って無視し続けてしまった。これも冷静に考えるべきだったと今では思うよ……」
「仕方のないことですよ。ブルクシア様が謝ることなどありません。むしろ、その気持ちだけでも充分嬉しいです。これからは、先輩後輩としてよろしくお願いしますね」
「そうか……。義理の兄としてはもう見てくれないんだね」
「いえ……そうではありません」

 どうしたら良いものか。これは私の一存で勝手に話して良いかどうか迷う。
 レオルド様にこれから会いにいくところだし、ブルクシア様も一緒に来てくれないかとお願いしてみた。

「そうか……。ソフィーナにはもう婚約者がいたんだね……。わかった。挨拶も兼ねて会いに行こう」

 私の婚約者と話したら、やたらとガッカリしているようにも見えた。
 レオルド様のもとへ二人で向かう。
 ただ、どうしてブルクシア様は私の手を握って歩くのだろうか……。
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