紺桔梗の転調




 曜汰って、チョコ、貰うんだ。

 バレンタインだもんね、外見的に貰ってもおかしくないか。

 明らかに、私はモヤつく。配る用に作った個包装のパウンドケーキ、悩んだ末に曜汰に渡さないって決めてたから。こいつ突然何。って曜汰に引かれるのが怖くて、断念したのだ。

 好きって言われた? 付き合ってほしい、みたいな。

 あの子が、曜汰に言う?

 イメージ沸かない、案外あっさりOKしたり。

 え、フツーに無理。

 ううん、めちゃくちゃ無理、嫌。

 通学鞄も、部活用バッグも床に置きっぱなしで教室を出る。土日、ひたすら悩む時間が無駄、他校での練習試合もサボりたくなるし、とりあえず。居ても立ってもいられなかった。

 三階分の階段を駆け下り、下駄箱の靴を取り出す曜汰を見つけた私は、曜汰を引き留めた。付近に生徒はいない、いける。



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