フラワーリング
その時だった。

人差し指に、小さな傷が増えていることに気付いた。

前に見た時にはなかった傷。

「あの」

気付けば呼び止めていた。

「その傷……」

橘さんは自分の指を見て、小さく笑う。

「ああ、バラの棘です。」

まるで「昨日は雨でしたね」とでも言うような口調だった。

「よくあるんですよ。」

本人は気にも留めていないその傷が、どうしてだか気になって仕方なかった。
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