無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「うん」
「じゃあ、あっちだね」
レイは自然な所作でリディアの手を引く。歩き始めたそのとき、遠巻きにリディア達のやり取りを見ていた女性グループのひとりが口を開いた。
「あれって……無能魔女じゃない?」
──無能魔女。
その言葉が聞こえた瞬間、胸がドクンと跳ねた。
父であるグリーン子爵はいつもそう言って、リディアを激しく罵倒した。そのときの恐怖と悲しみが甦る。
「え、あの人が? お母さんに聞いたことがあるわ。魔法使いなのに魔法を使わないから親に勘当されて、今は町外れの森に住んでるって。魔法使いなのに力を人のために使わないなんて、酷いわね」
「ほんと、無能魔女のくせに、若い男を侍らせていい気なものね」
若い女性達は急に盛り上がり始める。人の陰口は蜜の味、ということなのだろう。
リディアはぐっと唇を引き結ぶ。
聞こえないふりをするのは得意だ。
「じゃあ、あっちだね」
レイは自然な所作でリディアの手を引く。歩き始めたそのとき、遠巻きにリディア達のやり取りを見ていた女性グループのひとりが口を開いた。
「あれって……無能魔女じゃない?」
──無能魔女。
その言葉が聞こえた瞬間、胸がドクンと跳ねた。
父であるグリーン子爵はいつもそう言って、リディアを激しく罵倒した。そのときの恐怖と悲しみが甦る。
「え、あの人が? お母さんに聞いたことがあるわ。魔法使いなのに魔法を使わないから親に勘当されて、今は町外れの森に住んでるって。魔法使いなのに力を人のために使わないなんて、酷いわね」
「ほんと、無能魔女のくせに、若い男を侍らせていい気なものね」
若い女性達は急に盛り上がり始める。人の陰口は蜜の味、ということなのだろう。
リディアはぐっと唇を引き結ぶ。
聞こえないふりをするのは得意だ。