無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 思わずそんな言葉が口から漏れてしまうほど、カフェの制服が似合っている。パリッとアイロンの効いたシャツに蝶ネクタイを付けた姿が、憎らしいほど様になっていた。

「ねえ。レイ君は次のシフトいつなの?」
「知らない」
「レイ君のお勧めはどれ?」
「別にないけど」
「レイ君。このあと遊びに行かない?」
「行かない」

 次々と女性ばかりに声をかけられているが、全てに対してびっくりするくらい塩対応だ。しかし、声をかける女性達は全く気分を害するようすもなく、きゃあきゃあ言っている。

(これも最高のビジュのなせる技なの?)

 恐るべし、イケメンパワー。これを別の新人がやろうものならたちまち苦情になりそうだが。

(もう少しで終わりそうだし、表で待ってようかな)

 リディアは通り沿いに置かれたベンチに座り、本を読みながらレイの仕事が終わるのを待つ。
 ページをめくったタイミングで、ふと影が差した。

「雲が出てきたのかな?」

 見上げると、雲はないのに空は濁った灰色をしている。単に曇っているのとは明らかに違う様子に、リディアは眉を顰める。

「師匠の言う通り、結界が揺らいでいる?」

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