無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 それは、リディアがさっき目撃した女性達のことだろうか。あわよくばレイと仲良くなりたいと思っていたのだろうが、レイにその気は全くなさそうだ。

 リディアはレイが片手に紙袋をぶら下げていることに気付いた。来るときには持っていなかったものだ。

「レイ。それは何? 来るときは持っていなかったわよね」
「これ? 貰った。たくさん買ったからどうぞって、お客さんから」

 レイは紙袋を広げて見せる。中には、菓子店の焼き菓子が入っていた。

「え! これってマダム・ウイリーの菓子店のやつ? すごい!」

 マダム・ウイリーは王都でも指折りの高級菓子店で、王室も御用達にしている名店だ。値段が高いこともさることながら、あまりの人気で一般人は予約すら困難なのだ。

「リディアにあげるよ」
「え、いいよ。レイが貰ったのに悪いし」
「じゃあ、一緒に食べようよ」
「うん、それなら……」

 リディアは頷く。

「よかった。帰ったら食べようね」

 そう言うレイがあまりに嬉しそうで、リディアは小さく笑う。保護者懐く子供のようだ。
 かくいうリディアもいつの間にか、レイを弟のように大切に思っていた。

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