モフモフ王子様のお世話係になりました!~イケメン王子と秘密の共同生活~

2話 私と友だち

「天音~、一緒に帰ろ!」

放課後のチャイムが鳴ると同時に、由奈が元気いっぱいに駆け寄ってきた。

「今日は部活もないし、うち寄ってかない? ママが新作アイスをたくさん入荷したんだって!」

「えっ、本当!? 行く行く!」

「よしっ! じゃあ決まり!」

わたしが鞄を持つと、由奈はニヤッと笑った。

「ところで天音さん?」

「なに?」

「昨日もぬいぐるみ作ってたでしょ」

「ぎくっ!」

「その反応で確定なんだけど」

「な、なんでわかったの?」

「だって授業中、三回も船こいでたもん」

「見てたの!?」

「見てたよ!」

由奈はケラケラ笑う。

「しかも英語の時間、先生に当てられてたじゃん」

「あああああ! 思い出させないで!」

「『アイムファイン』を『アイムパンダ』って言ってたし」

「やめてぇぇぇ!」

わたしが頭を抱えると、由奈はお腹を抱えて笑い出した。

「もう最高!」

「笑い事じゃないよ!」

「でも、そういうところが天音らしいじゃん」

「褒めてる?」

「たぶん!」

「たぶんってなに!」

二人で笑いながら校門を出た。


◇◇◇


「いらっしゃいませー!」

コンビニの自動ドアが開く。

「ただいまー!」

「おかえり、由奈。天音ちゃん」

由奈のお母さんが笑顔で迎えてくれた。
由奈のおうちはコンビニを経営してるんだ。

「おじゃまします!」

すると由奈は真っ先に冷凍ケースへ向かう。

「さあ、今日の運命のアイス選びだ!」

「大げさだなぁ」と私は苦笑する。

「アイスは人生だから」

「初めて聞いたよ、その名言」

由奈はケースを開けて歓声を上げた。

「見て! 新作いっぱい!」

「本当だ!」

「私はソーダ味!」

「即決!?」

「浮気しない女だからね」

「アイス相手に?」

「アイス相手に」

わたしは思わず吹き出した。

「じゃあ私は綿菓子味!」

「おっ、チャレンジャー」

「おいしそうだもん」

「もしハズレだったら一口交換ね」

「いいよ!」

二人は休憩スペースに座り、同時に袋を開けた。

「いただきまーす!」

カリッ。シャリッ。

「ん~っ!」

「うまっ!」

「これ幸せの味だよ!」

「わかる!」

「学校終わりのアイスってなんでこんなにおいしいんだろうね」

「たぶん世界七不思議」

「絶対違う」

また二人で笑った。

その時だった。

テレビから女性アナウンサーの声が流れてきた。

『本日、中国からパンダが日本にやってきました!』

「パンダ!?」

「えっ!?」

二人同時にテレビを振り向く。

画面いっぱいに映った白黒のパンダ。

ころん。

どてっ。

またころん。

「きゃああああ!」

「かわいいぃぃぃ!」

『――その名もモフモフ王子です』

「名前までかわいい!」

由奈が立ち上がった。

「反則だよね!」

「わかる~!」

「見て見て! 転んだ!」

「今こっち見た!」

「いやいや、テレビだから!」

「そっか!」

「そこは納得するんだ!?」

二人は大笑いした。

それでも、わたしの目はずっとテレビに釘付けだった。

この時はまだ知らなかった。

まさかこのパンダがきっかけで、とんでもない出来事に巻き込まれるなんて――。
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