君が照らす人生は、いつだって温かい



「でも、お母さんの顔見たら、〝どうせ反対される〟って先に諦めちゃって」



言葉を重ねながら、
自分の中の『諦めグセ』がどこから来ているのか、
ぼんやりと分かってくる。



「〝何やっても途中でやめる〟って、ずっと言われてきたから」



ピアノ。

合唱コンクール。

塾。



「だから、〝また怒られるくらいなら、黙ってやって、終わってから謝ったほうがマシ〟って思っちゃった」



義母の表情が、わずかに揺れる。



「……それは、私が悪かったわ」



ぽつりと言った。



「〝途中でやめた〟ことばかり見て、〝途中までやった〟ことをちゃんと見てこなかった」



その認め方は、逆にずるい。



「でもね」



義母は、深呼吸をひとつした。



「だからって、〝黙ってやっていい〟理由にはならない」



「分かってる」



「あなたは、〝勝手にやる自由〟を手に入れたいのか、〝一緒に考えてくれる味方〟を増やしたいのか、どっちなの?」



思ってもいなかった問いだった。

どっちでもいい、
と笑い飛ばせたら、どれだけ楽だろう。



「……味方がほしい」



気づいたら、そう答えていた。



「勝手にやる自由だけあっても、たぶん私、途中で折れるから」



川沿いの夜。

欄干。



「誰かに、〝行ってこい〟って言ってほしい」



義母は、しばらく私を見ていた。

その視線が、怖いようで、どこか安心でもある。



「じゃあ」



やがて、ゆっくりと口を開いた。
< 154 / 200 >

この作品をシェア

pagetop