君が照らす人生は、いつだって温かい



家に帰ると、
義母はキッチンでシチューを煮込んでいた。



「ただいま」



「おかえり。明日、文化祭だっけ」



「うん」



「ステージは午後?」



「体育館で、二時から」



おたまでシチューをかき混ぜながら、
義母はうなずく。



「……あのさ」



鞄の中で、
ちょっと折れかけている紙を握りしめる。



「なに?」



「これ」



差し出したのは、
文化祭の『ステージ発表観覧券』。

一人一枚、
家族に渡していいと言われたものだ。



「明日、もしよかったら、来てほしい」



言い終わるまでに、
思ったより時間がかかった。



義母は、布巾で手を拭きながら、
その紙を受け取る。



「ライブハウスじゃなくて、学校の体育館ね」



「うん」



「帰りは、夕方?」



「三時には終わる」



「そう」



観覧券を指で挟んで、
しばらくじっと見つめる。

心臓の音が、
シチューのぐつぐついう音と混ざる。



「……行くよ」



あっさりと、義母は言った。



「え」



「歩実が文化祭が終わるまでは一旦やめないって言ったんだから」



少しだけ、いたずらっぽく笑う。



「〝今日まで生きてきたんだよ〟って曲、ちゃんと聴いとかないとね」



「緊張する」



「今さら?」



その突っ込みが、妙に嬉しかった。
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