君が照らす人生は、いつだって温かい
「今日だけは、ちょっと違ったでしょ」
真正面から、目が合う。
街灯が、瞳の中に丸く映る。
「今日だけはさ、〝ここまで来ちゃった人生も、案外悪くないかも〟って思えたでしょ」
胸の奥が、ぎゅっとなる。
文化祭のステージ。
体育館の拍手。
義母の涙。
夕焼けのベンチ。
全部が、一気にこみあげてきて、言葉があふれた。
「……思えました」
喉が少し詰まりながらも、なんとか言う。
「間違ってばっかだと思ってた人生が、今日だけは好きになれたかもしれないって」
口に出した瞬間、目の奥が熱くなった。
視界が、少しぼやける。
泣きたくないのに、笑いたくて。
笑いたいのに、涙が出てくる。
「今日だけ、か」
春日井先輩が、少しだけ首を傾げる。
「はい。今日だけ」
「じゃあさ」
歩道橋の下を、
電車が通り過ぎる音がした。
その轟音の合間をぬって、
春日井先輩の声が落ちてくる。