君が照らす人生は、いつだって温かい



「昨日、体育館で、バスケ見ました」



話題が飛んだ。

でも、今言わないと、
二度とチャンスがない気がした。

春日井先輩が、少し驚いた顔をする。



「二階席のほう?」



「はい。友達と。……すごかったです」



「ありがと」



照れくさそうに頭をかく。



「でも、そんなこと言ってくれる人、あんまりいないんだよね」



「え、そうなんですか」



「〝シュートやばかった〟とか〝エグかった〟とかはあるけどさ。〝すごかったです〟って、なんか真面目に褒められてる感じする」



「そ、そうですか?」



「うん。なんか、ちゃんと見てくれてたんだなって」



『ちゃんと見てくれてた』。

その言葉が、胸のどこかにひっかかった。

あの夜、柵の前で俯いていた自分を、
『ちゃんと見てくれてた』人がいた。

昨日、体育館でボールを追っていた彼を、
『ちゃんと見ていた』自分がいた。

その両方が、
今ここで同じCDを挟んで向き合っている。



「このアーティスト、他にも好きな曲ある?」



春日井先輩が、少し身を乗り出して聞いてくる。



「えっと……新しいほうは三曲目を聴きました。タイトル、たしか……」



記憶をたぐる。
< 20 / 200 >

この作品をシェア

pagetop