君が照らす人生は、いつだって温かい



翌日、図書室で参考書を眺めていると、
不意に声をかけられた。



「それ、難しくない?」



顔を上げると、春日井先輩が、
棚の向こう側から顔を出していた。



「あ……」



声が裏返りそうになる。



「昨日のCD、どうだった?」



開口一番、音楽の話だった。



「えっと……すごく、よかったです」



語彙力のなさを自覚しながらも、
素直にそう言う。



「一番好きだった曲、どれ?」



待ってたみたいに、すぐ質問が飛んできた。



「えっと……全部好きだけど、『傘を閉じる前に』が、今のところ一番、かもです」



「やっぱそこなんだ」



春日井先輩は、嬉しそうに笑った。



「昨日、〝そこ好きそう〟って、美由紀に言ってたんだよね」



「え?そうなんですか?」



「うん。『好きな共通点で盛り上がれてよかったね』『私も話してみたい』だって」



「そんな話を……美由紀さんが」



「まあ、あいつも音楽好きだし、それに友達以外と少ないからさ」



意外な言葉だった。

夏目さんが友達少ない。

あの〝ちゃんとしてる〟感じの人も、
どこかで誰かに対してぎこちないのかもしれない。



「で、〝傘閉じ〟のどこが好きだった?」



先輩の質問は、いつも具体的だ。



「どこ、っていうか……」



歌詞カードの一節が、頭に浮かぶ。



「『今日もちゃんと、ここにいるね』ってところです」



自分でも驚くくらい、迷わず口から出た。



「昨日、何回もそこだけリピートしてて」



「分かる」



春日井先輩の目が、ふっとやわらかくなる。



「あそこさ、〝誰かに言ってる〟ようで、〝自分に言ってる〟感じもあって、いいよね」



「そうなんです。なんか、〝生きててえらい〟って言ってもらえたみたいで」
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