君が照らす人生は、いつだって温かい
第七章
中三の冬
試合の翌日から、
学校の空気が少しだけざらついていた。
「春日井先輩、やっぱり結構やばかったらしいよ」
「骨折れたとか、筋切ったとか、なんかいろいろ説ある」
「このまま引退とか、ないよね……」
廊下ですれ違うたび、
誰かが『春日井』の名前を出している。
でも、
そのどれもが『らしい』『とか』で終わる噂話で、
本当のことは何ひとつ分からなかった。
教室の窓から見える体育館の屋根が、
いつもより遠く見える。
「歩実、大丈夫?」
休み時間、
ノートをぼんやり眺めていた私に、
瑠奈が声をかけてきた。
「なにが?」
「顔。なんか、ずっと体育館の方向いてるよ」
「……向いてた?」
「うん。授業中もずっと」
言われてみれば、
黒板の上の時計の先にあるものばかり見ていた気がする。
「そっか」
「そっか、じゃなくてさ」
瑠奈は、椅子の背にもたれかかりながら続ける。
「会いたいなら、会いに行けばいいのに」
「え?」
「保健室とか、職員室前とかうろちょろしてないでさ」
図星を刺されて、言葉に詰まる。