君が照らす人生は、いつだって温かい
「意外と、嫌いじゃない」
「え?」
「毎日ちょっとずつしか進まないけど、〝昨日より一ミリだけマシ〟みたいなやつ」
ゆっくりと言葉を選ぶ。
「試合みたいに、一発でヒーローになる感じじゃないけどさ。こういう地味なやつも、まあアリかなって」
その言い方が、妙に胸に残った。
あの夜、
自分の足で川沿いを離れたときの感覚と、
どこか似ていた。
「……温人先輩っぽいです」
「どのへんが」
「〝ちゃんとここにいる人〟っぽいです」
自分でも、少し恥ずかしくなる言い方だった。
でも、彼はふっと笑う。
「またそれ」
「また?」
「〝今日もちゃんと、ここにいるね〟」
彼のほうから、そのフレーズが出てきた。
「リハビリ室通ってるとさ、あの曲、頭の中でよく流れる」
「そうなんですか」
「うん。〝今日もちゃんとここにいたな、俺〟って思えるから」
それを聞いて、胸の奥がじん、とした。