2度目の初恋、始めます♡

 いろんなことを頭で振り返っていたら、いつの間にか信号が青になる。
 
 今なら、何かはいえるかも。

「蒼!」

 私は声をあげる。
 
 声は少し、震えていた。
 
 蒼が振り向く。

 蒼はすぐに私に気づいたみたいで、顔がパッと明るくなる。
 
「……桜庭、さん?桜庭さんだよね!」

 名前を呼ばれただけで、胸がぎゅうっと締めつけられる。

 久しぶりにあった蒼は前よりも、前よりもすごくかっこよくなっていた。
 
「うん。そうだよっ……蒼、久しぶりだね」
 
「……うん、久しぶり」

 蒼はふわっと笑った。

「今、時間ある?俺と一緒にお茶でもしない?」

「いいよ」

 私の持ち時間は多過ぎて余ってるくらいだもん。

 ……って、え。
 
 えええええええええっ⁉︎

 私は何気なく返事したけど、少し経って何をいわれているの家を完全に理解した。
 
 私は今、「一緒にお茶しよう」と、そういわれているってことだよね……⁉︎

 完全にナンパじゃん!
 
「やった!せっかくこうやって会えたんだし、『バイバイ』だけじゃやだなって思って」
 
 いいの?

 私でいいの?
 
 本当に?
 
 心ではそう思ったけど、当たり前に言葉には出さない。

 だって……私も蒼と行きたいんだもん。
 
「もちろん」

 私は普通の態度を装ったけど、心の中では花火大会。

 ドカン、ドカンと花火が上がる。
 
 どうしようっ……前髪大丈夫かなっ?

 私はサッとスマホで髪を確認した。
 
 蒼に連れられ、近くのカフェに入る。

 私はアイスティー、蒼はアイスコーヒーを頼む。

(アイスコーヒーって……大人じゃん)

 しかも背、すっごく伸びてるし。

 なんでそんな成長してるのっ……⁉︎ってなるくらい急に伸びてるよ。

 前は私の方が断然高かったのに。
 
「白鳳、どう?」

 私は蒼に聞いた。
 
「やっと慣れてきたかな。まあ、悠真(ゆうま)とか千秋(ちあき)とかいるし」
 
「そっか」
 
 悠馬(くん)千秋(くん)というは同じ小学校の同級生。

 蒼とはすごく仲が良かった2人なんだ。
 
 懐かしい名前も出てきて、少しずつ開いていたはずの距離が、縮まっていく感じがした。

 ちなみに、私の山里小学校の校区は線路を挟んで2つに分かれている。

 その奥側が倉内中で、手前側が私の通う三橋中。

 山里小の1学年のうち、7、8割は三橋中で、そこにプラス隣の洛山の人が全員入ってくるようになっている。

 私が特に仲のいいのが春夜って友達。

 小学校も4年から6年の2月まで同じ町内に住んでいて、毎日一緒に帰っていたんだ。

 
 それから私達は話に花を咲かせた。 
 
 そして。

「Talkie、繋げない?」

 と、蒼に言われた。
 
 ………ん?

 ……えええええええええ〜っ!!
 
 Talkieとは連絡用チャットアプリのこと。

 今はクラスチャットもあって、みんなが使っている定番アプリ。

 ……にしても、好きな人と久しぶりに会って、こんなにあっさり連絡先交換していいものなのっ⁉︎

 本当に?
 本当に?
 本当にいいの?
 
 少女漫画すぎるこの展開に、嬉しすぎて倒れるかと思った。

「いいよ!QRコード出すね!」
 
 どうしても嬉しいと言う感情を抑えきれない。
 
 私がQRコードを出して、蒼がそれを読みこむ。
 
 登録完了の瞬間、胸が跳ねた。
 
 やばいっ……!
 嬉しすぎる!

 好きな人とこんな簡単に、連絡先交換ができるなんて思ってなかった。
 
 その時。

「また、一緒にどこか行かない?」
 
 蒼が、少し照れたみたいに言う。

 え、なにそれ。

 その笑顔、反則なんだけど。

 し・か・もっ!

【一緒にどこか行かない?】だって!!

 デートってことだよねっ……⁉︎

 私、今あっさりとデートに誘われてるのっ?

「もちろん、いいよ」

 私はできるだけ感情を出さずに返事をする。

 本当は飛び跳ねて喜びたいくらいなんだけど、ね。

 蒼は私の回答を聞いて嬉しそうにする。
 
 今日はそれでお別れ。
 
 でも──。

 私の夏は、ここから変わった。

 水泳1色だった私の中学生活に光がさしていった気がした。
 
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