台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「俺も観たいな。
音小さくすれば、イヤホンいらないんじゃない?」
間にスマホを挟んで手が重なる爽真と、掴まれた手首で繋がる紫苑。
ビリリと膠着した火花がそこを駆け巡る。
「意外と音響くから。イヤホンは必須」
「えー。じゃあ、俺にも貸してよ」
「2個しかないから無理」
「じゃあ爽真が遠慮しなよ」
(……冗談でしょ?第二ラウンド始まったんですけど)
今度は私の耳元近くで右に左にと、小競り合いが行き交い始める。
「……」
両手を奪われておかしな体勢になりながら、心の中で気が遠のく。
この2人の間に挟まれている限り、私に平和は訪れないんだなって悟りさえ開きそうだった。
「俺が」「お前が」の不毛な男子の言い争い。
子どもかよ。
爽真も紫苑も、いつもより精神年齢下がってない?
「わかった、わかりまーしーたっ」
パッと2人の手を振り払って、スマホとイヤホンを持った両手を胸の位置で合わせる。
「ふたりが仲良しなのは、瑠奈、とぉってもよくわかったから。
だから、こうしよっ」
オーバーなくらいにっこりと2人に笑いかける。
私がとった手段は――……