台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
すぐそばにいるのに、まるで私なんていないかのように弾む会話。
部屋の四方に置かれた固定カメラのタリーランプを、別のスタッフがつけて回る。
「あ、とりあえずここ2人、撮影しときましょう!」
爽真と美玲に絡んでいた女性スタッフが、明るい声でカメラマンを呼ぶ。
それは、爽真×美玲の、ストーリーが始まる合図。
今、この場で何より大切な時間。
つまり、私はここに不要ってこと。
もうずっと微笑ませ続けていた唇を、さらに上向かせる。
意識的に、声を溶かして甘ったるくした。
「美玲ちゃんが代わってくれるならぁ、瑠奈、やることないしあっち行ってよーっと」
ポンッと軽く床を蹴って、爽真たちと反対方向からキッチンを出ようとする。
「……は?何言ってんの」
私はそれを聞いてないことにして、2人を撮ろうとしているカメラの画角の外に出た。
爽真は怪訝な顔をして、ソファに逃げ込む私の後ろ姿を視線でずっと追いかけてる。
それすらも、フィルターを通せばただ身勝手な悪女に苛ついている姿に見える。