台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
――一瞬で、話題の中心が美玲になる。
紫苑と爽真に特別扱いされている様を見せても、上がる声には嫉妬すらなく、好意的な言葉ばかりだ。
さすが、圧倒的ヒロイン。
恋愛模様が動いただけで、話題の中心になった。
(爽真が優しいのなんて、特別じゃないのに)
特別、じゃなくて、元々の性格。
それをみんなは知らないだけ。
そんな風に嫉妬している私が、小さくて嫌になる。
「瑠奈ちゃん。空いた卓の片付け、手伝ってくれる?」
美玲へのフォローを済ませた紫苑に、後ろから肩を叩かれる。
紫苑と私の接触に、側にいたお客さんの目が向いた。
(そうだった。私は私の仕事をしなくちゃ)
私が3人を引っ張るって気持ちでいたのに、さっきからフォローされてばっかな気がする。
ぐるぐると上手く回らない頭を瞬きで切り替えて、悪女の態度を作り直す。
「えー?紫苑くん、瑠奈とお仕事したかったの?
いいよ、お手伝いしてあげる♡」
脳天に響くほど高く、周りに聞かせる声でそう言って紫苑の隣に張り付く。
「そうじゃないけど……」と苦笑いするのに完全拒否はしない紫苑と、きゃっきゃと楽しそうにする私のやりとりに、唖然とするお客さんたち。
「うわ、まじでるなってこんな感じなんだ」
「ホント空気読めないんだね」
「顔可愛いのにもったいな(笑)」
「しおんもちゃんと拒否すればいいのに」
片付けた後の座卓を拭きながら、陰口に耳をそばだてる。
向かいの卓を片付ける紫苑と目配せして、小さく微笑み合った。
画面の外でも、番組で見たままの私たち。
それをちゃんと示せたから、恋リア劇場は成功。
そんな結果で終われそうだ。