台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

Ep.74 圧倒的ヒロイン

8月28日。土曜日。
8:00。

4週目最終日だというのに、私は身支度を整えることすら許されず、ベッドに横になっている。

「いいですか!?瑠奈ちゃん。
今日一日、しっかりお休みしてくださいね!」

「……はぁい……」

頬を張らせてこれ以上ない顰めっ面をしてくる小動物・ひよりの予想以上の迫力にたじたじになりながら返事をする。

「じゃあ私は、瑠奈ちゃんの分まで頑張ってきますっ」

荒い足音に反して栗色のウェーブ髪をふわふわとさせながら、ひよりが部屋を出ていった。


仰向けの体を、ごろんと横向きに変える。

体調はもう、体感ではすっかり元通り。
昨日の夕方以降も食事とお風呂以外はずっと寝ていたから、今日一日休むよう言われてもだいぶ持て余してしまう。

(こんな大事な時に倒れるなんて、本当にツイてない……)

おまけに仕事中。
おかげで爽真との関係まで、スタッフ・キャスト、全員にバレた。


昨日の夜――
体調が落ち着いて、とりあえずお風呂に行くためにリビングに降りた時のみんなの反応を思い出す。

体調を案じてくれつつ、なんとなく聞くに聞けない気まずさを漂わせているみたいな、あの居心地の悪い空気感。

紫苑と美玲とは目も合わなかったし、陸と彩加はめちゃくちゃ動揺しているのが目の動きでわかった。

ひよりの純粋に心配だけしてくれている態度には、逆になぜ少しも動揺していないのかとこっちが焦る。
大和も気まずそうではあるけど、割に冷静に気遣ってくれていた。

爽真もその場にいたけど、何か事情を話したんだろうか?
何も話さずにあの空気の中1人で平然としていたんだとしたら、ちょっと尊敬する。


(……まぁ、それも、今日の夜聞けばいい)


爽真の後先考えない行動には、冷静になってみるとやっぱり腹も立つけれど。

久しぶりに深夜に会って話せばいいと思うことができる状況に、心は素直に喜んでいた。


(しかたない、今日のところはもう少しだけ寝ておくか)


朝日から隠すように頭まで布団を引き上げて目を閉じる。

起きたら、掲示板やSNSのチェックをしよう。

昨日の夜ひよりから聞いた話では、私と爽真の騒動は外には漏れていないはずだけど――
2人同時に消えたことについて、何か勘ぐっている人がかもしれない。
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